◆最後の日

いよいよ、青野ヵ原を出発することになった。どこへ行くのか知らないが長い旅が続くのである。今日一日は携行品の手入れ、検査、兵舎の後片付けなどで忙殺(ぼうさつ)された。馬達も明日の出発を知っているのだろうか?静かに休んでいる。このボロ兵舎でも今日が最後かと思うとやはり懐かしい。もう消灯後三十分も経過しただろうか、静かになった兵舎を不寝番が歩いて行く。その足音だけが耳に残る。

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