(あらしまだけ)
荒島岳
(1524m)


福井県大野盆地の南東に位置する奥越の名峰です。別名・大野富士とも言います。越前大野城の上からも眺望でき、どっしりとしたピラミッド型の美しい山容で、日本百名山に選ばれたのもこの品格の良さからだそうです。独立峰なので山頂からは白山はじめ、北アルプスまで遠望できます。


平成14年10月、単独で登頂しました。富山からJR北陸本線で福井駅まで、そこからJR越美北線(九頭竜線)に乗って勝原(かどはら)駅で下車しました。驚いたことに越美北線は1日に4本程度しか列車がなく、途中の駅もみな無人駅でした。私が勝原駅に着いたのは10時20分頃で、民宿のおばさんに登山口の勝原スキー場まで車で送ってもらい、11時に入山。

ゲレンデ・リフト沿いの急登を登り、リフト終点まで登り切ると、眼下に九頭竜川や大野盆地が大きく見渡せました。ここから先はブナ林で、曲がりくねったブナの大木がたくさんあり、うっすらとした森林地帯です。そこを1時間半程かけて登り続けるとシャクナゲ平という小休止できる広場に着きました。そこから左に入り、鎖場を通ってクマザサの中へ、この辺りから荒島岳山頂や紅葉が見えてきました。シャクナゲ平より1時間後に山頂に到着。山頂には荒島大権現奥ノ院の小さな祠があり、白山はじめ360度のパノラマは残念ながら雲でかすんで見えずじまい。仕方なく時間を気にして大慌てで下山を開始しました。この時すでに午後3時でしたから。

元来た道を下山し、リフト終点に着くとさすがに周囲は夕闇が迫っていました。ここから30分で登山口まで下山、民宿のおばさんが心配そうにそこで待っていました。その日の宿は駅前の民宿「林湊」。1泊2食付で5000円でした。お風呂も部屋も全て一般家庭そのもの。遠方から荒島岳を登る人は登山前夜にこの民宿に泊まるか大野駅前の旅館に泊まるそうです。

そういえば、NHKの「日本百名山」でこの荒島岳を登った人が深田久弥の長男の深田森太郎さんでした。片手に父君の著書「日本百名山」を持って早春のJR越美北線に揺られている姿は今も印象に残っています。


   

(左)リフト終点からシャクナゲ平に至るブナの林(右)クマザサの向こうに見える荒島岳山頂


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