尾瀬
(鳩待峠〜尾瀬ヶ原〜尾瀬沼〜大清水)


日光の裏側にある日本人の避暑地、「はるかな尾瀬〜♪」です。かっての秘境の地も今では開発されて夏場は大勢の観光客で賑わいます。まさに人だらけの尾瀬。鳩待峠〜山の鼻〜竜宮〜見晴〜段小屋坂〜沼尻〜尾瀬沼〜大清水の縦走コースは約30キロ足らず。そのほとんどが木の板で整備されているため非常に歩きやすい遊歩道となっています。また至仏山や燧ヶ岳(百名山)にも登れるため、ハイカーにもお勧めの観光地です。尾瀬の見所は何といっても豊富な花で6月上旬のミズバショウ、7月下旬のニッコウキスゲの大群落は有名。そのシーズンになると大勢の観光客が尾瀬に入山します。


平成15年8月11日、主人の夏休みを利用して尾瀬に行きました。
7年程前の5月GWに尾瀬を訪れた時は、3m程の雪が積もった尾瀬沼の上をクロカンの板で歩いた懐かしい思い出があります。その分、今回は念願の夏の尾瀬とあって出発前からとても楽しみにしていました。

前日の10日に富山を出発して北陸道・関越道を通過、沼田ICから120号線を通って、その日は日光・中善寺湖を観光しました。夕方、401号線を通って鳩待峠の麓にある戸倉の「水芭蕉の宿ひがし」に宿泊。ここは露天風呂の温泉付きののどかな宿でした。

翌朝、宿からタクシーで鳩待峠に到着。バスと同額で大人一人900円の乗車賃です。
7時45分頃、鳩待峠を出発。第一地点「山の鼻」に向かって林道の中の木の板道を少しずつ下って行きました。道中にはカニコウモリ、ソバナ、マルバダケブキ、コオニユリ、コバギボウシなどの花が所々に密集して咲いていました。楽に歩ける道を1時間程下って行くと山の鼻に到着。ここにはビジターセンター、WC、山荘があり、鳩待峠と尾瀬ヶ原を結ぶ休憩地点となっています。

山の鼻からは尾瀬ヶ原と至仏山への分岐点があり、尾瀬ヶ原コースへ入っていくと眼前に大きく尾瀬ヶ原湿原が広がっていました。そして後ろを振り返るとそこには至仏山が大きくそびえ立っていました。木の板道をとことこ歩いて行くと、ノアザミ、コオニユリ、コバギボウシ、サワギキョウ、マルバダケブキ、ミズギク、アブラガヤの花がいっぱい。湿原には所々、白樺や地塘もあったりして尾瀬ヶ原の良きイメージをかもし出していました。
しかしアップダウンのない平坦な道を歩くのもそろそろ疲れてきたなぁと思っていると、眼前に雲がかった燧ヶ岳が大きく近づいてきました。竜宮近くの地塘にはヒツジグサと呼ばれる蓮に似た小さな花が水面に浮かんでいました。未の刻(午後2時)頃に開花するのでこの名がつけられたそうです。またこの辺りから既に咲き終わったニッコウキスゲの花の実を見かけるようになりました。

鳩待峠から2時間程で竜宮に到着。ここには竜宮小屋があり、お弁当を食べている人達でごった返していましたが、我々はさらに見晴十字路(下田代十字路)を目指して素通り。この付近でトモエソウ、ジャコウソウに遭遇しました。だんだん雲行きが怪しくなってきたと思ったら、眼前に弥四郎小屋や尾瀬小屋、第二長蔵小屋のある見晴十字路が見えてきました。あともうひとふんばりです。この辺りもニッコウキスゲの大群落だったようで既に咲き終わった花の実が散策路周辺に広がっていました。7年前、クロカンツアーで反対側の大清水からここに来た時は一面が真っ白な雪景色、見晴の小屋前からあそこの白樺の木まで歩こうとクロカンの板で歩いていった懐かしい思い出があります。

11時半頃、見晴十字路に到着。弥四郎小屋の前にあるテントで前夜泊まった「水芭蕉の宿ひがし」に作ってもらったおにぎりをほおばりました。大きな海苔のついた黒いむすびが2個、硬く握られていて食べやすかったです。おにぎりはやっぱり硬くなくちゃいけません。

見晴には公衆WCがあり、そこで用をたしてから12時過ぎにまた出発。
今にも降り出しそうな怪しい雲行きでした。ここから沼尻までに至る道は唯一の登り坂で山道です。ブナの林帯をこつこつ登っていくと7年前にクロカンで歩いた懐かしい思い出がまたちらり。あの時は雪道で大変でした。15分程で燧ヶ岳に登る見晴新道との分岐点にさしかかりましたが、我々は沼尻に通じる段小屋坂を進みました。段小屋坂はブナの林の中にあり、道沿いにはダンゴヤ沢が流れています。白砂乗越がちょうど峠になるようで、そこから先は下りです。そろそろ下っていくと眼前が開けてきて、また湿原に遭遇しました。コバギボウシやコオニユリのある湿原をしばらく歩いていくと休憩舎のある沼尻に到着。見晴十字路から2時間程の距離です。沼尻休憩舎には飲み物やお菓子などの飲食物が販売されており、眼前には尾瀬沼が広がっていました。ここはちょうど尾瀬沼の端っこに当たる部分です。

時間を気にしてさらに長蔵小屋を目指して出発。沼尻から尾瀬沼山荘のある三平下まで約1時間。尾瀬沼沿いの木の板道を歩いていくのですが、沼が見えたり隠れたりのちょっと展望の悪い林道でした。でも時折見える尾瀬沼には何ともいえない風情が漂っています。ビデオを持って歩いていたKameG君が階段で足を滑らせて転倒。以来、この道は永遠にKameG君に恨まれることになるでしょう。この暗い林道にはサンカヨウの実を多く見かけました。サンカヨウ、エンレイソウなどの花はこういう暗い所に咲くのでしょうか?

1時間程で三平下に到着。7年前は三平峠の上からこの下まで一気にクロカンの板で滑り下りたので大変でした。そこから先は長蔵小屋、ビジターセンター、沼山峠に続く道ですが、尾瀬沼と燧ヶ岳を望みながら歩ける展望の開けた道です。散策路周辺にはコオニユリ、ノアザミ、コバギボウシ、オタカラコウなどの花がいっぱい咲いていました。

三平下から20分程で長蔵小屋に到着。7年前に泊まった時の小屋そのままです。今回は個室を使わせてもらえるとあって余裕たっぷり。荷物を部屋におくと大江湿原に向かってまた歩きました。この辺りもニッコウキスゲの大群落だったようで花の実がいっぱい。7月下旬に権勢を誇っていたのでしょう。8月中旬ともなるとコオニユリとオタカラコウが圧倒的でした。また時折、ヤマハハコも見かけたりしました。また川にはイワナが泳いでいました。

小屋から10分程歩いてUターン。小屋の水飲み場の前にはミヤマトリカブトが咲いており、小屋の周辺には赤いヤナギランが咲いていました。長蔵小屋にはお風呂があるようで16時から18時までが入浴時間。早速入ってみると、浴槽に湯をはっただけの4〜5人程がやっと入れる小さなお風呂でした。ここではお湯が一人洗面器3杯?まで使用可という制限がついています。このわずかなお湯で身体を洗うのです。パタやんは頭まで洗って(流して)しまいました。ギョッ!

夕食は18時から。大した量はありませんでしたがまずまずのごちそう。食後は喫茶室でホットコーヒーにドーナツ。19時からビジターセンターのスライド上映会に参加しました。大学生らしき兄ちゃんがスライドを使って尾瀬の自然、花の説明をするのです。尾瀬にはツキノワグマがよく出没するらしくクマに遭遇した時にはどうしたらよいか?クイズ、寸劇式で説明してくれました。死んだふりをする、木に登る、戦う、3つのうちどれでしょう?と問いかけてきましたが、結局、正解は目をそらさず後ずさりをする?でした。最近、クマに襲われた爺さんの話をよく聞きますが、中には巴投げをして投げ飛ばしたという果敢な話もあります。うわぁ!

翌朝は5時起床。外は雨が降っていました。残念。6時から朝食でそれを済ませると7時に出発。長蔵小屋から三平下まで引き返し、三平峠を目指して上昇。15分程で三平峠に到着しましたが、ここは樹林帯で展望は全くなしです。写真を撮ってもらった後はひたすら林道の中を下山。KameG君が時折、白いギンリョウソウ(銀竜草)を見かけたりして悲鳴をあげていました。あれでも一応、花なんでしょうか?急な下り道に7年前、クロカンの板で下りていった壮絶!な体験を思い出しました。よーこんなとこ、クロカンで下れたなぁーと思います。下りるにしたがってまた例のソバナをたくさん見かけるようになりました。

1時間程で三平橋のある一ノ瀬休憩所に到着。そこから先はほぼ平坦な道で1時間程で大清水に到着。7年前はここからクロカンの板を担いで尾瀬に入っていったのです。

大清水からバスで戸倉まで引き返し「水芭蕉の宿ひがし」に置いてあるマイカーに乗って、日光白根温泉「大露天風呂・薬師之湯」まで向かいました。単純泉で巨大露天風呂が魅力的でした。


   

(左)至仏山が望める尾瀬ヶ原湿原(右)尾瀬沼と燧ヶ岳


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