"Sweets"

静かな村はずれのワイン園。目の前に広がる街並みと黄色いブドウの木々の写真を撮って、曇り空なのがひとつ残念に思いつつ村への道をたどる。
前の方からやってくる人を見つけ、人を入れた写真を撮ろうとポイントと構図をだいたい決めてしばらく待つ。もちろん、それとなく。でも、ふと人影が消えた。脇にそれる道はなかったはず。しばらくして、もう一度道に出てきたその人は一房のブドウを食べながら歩いてきた。それとなく写真を撮ったら、照れるように笑って"もしかして、写真撮ったの?"、おいしい?と聞いたら大きく"ええ!"と頷いていた。
オーストリアでは人を入れた写真を撮ってもさほどいやな顔をされなかったような気がするけど、少しでもこういうコミュニケーションができるともっと嬉しい。
帰り道、周りを気にしながらブドウを一房失敬した。小粒の白ブドウだったけど、とてもみずみずしく甘かった。これがあの辛い白ワインになるのが何だか不思議。