きょう さくらさく prev. index next
ことに最近、日本人は敏感すぎると感じるほど、さくらにこだわる。殺伐とした世の中で、毎年健気に咲く桜のやさしさにすがりついているのだろうか。桜で涙しないと安心できないような、桜でさわがないと落ち着かないような、執念のような感情を感じる。桜の名所はとんでもなく混雑したり、毎年必ず桜を歌った曲がつくられる。桜の魅力のひとつは、並木や名所をつくろうとしたところで、そう簡単にできないところかもしれない。時の流れが速くなり、皆が短気になり、いろんなものがすぐに求められる時代でも、一気に桜並木をつくることはできない。そこには、何ものにも代えられない、時間の積み重ねがある。