しあわせ さくら prev. index next
勝持寺の茶席。広い和室から、窓越しに紅枝垂れの巨木が眺められる。高低差のある庭園なだけに、人の姿は見えず、ただ大きな桜が静かに立っている。この部屋が本当に価値を持つのは、一年でもこの時なのだろう。ほんのわずかの、最高の時間。それは得てして一瞬で、でも人はその瞬間のために生き続ける。