光へ 

  
この街の建物は、そのほとんどが灰色っぽい石でできている。
もっとも、もとは白かった石が酸性雨か何かで
黒ずんできたのかもしれないが。
聖堂や市庁舎だけでなく、精肉市場跡しかり、倉庫群もまたしかり。
静かな運河沿いの石造倉庫群はどこか廃退した感じさえかもし出す。
ただ、陽の昇りかけている午前中、光の射す方角には、
その白い光を受けて、またその光に溶け込んで、
尖塔が白く霞んでいく。