安倍なつみ カジュアルディナーショー追加公演
広尾ラ・クロシェット 2005/09/29

天国へ続く階段

 …ふう。
 えー、今はとにかく幸せでいっぱいです。皆さんのレポ通り、いやそれ以上の素晴らしい内容で、これまでの想いが全て叶ったような至福の時間でした。ああ゛っ!女神さまっ!!!

 ↑は帰宅直後に幸せの余韻が残る中でBBSに書き込んだ速報の第一声です。
 このディナーショー形式は何が良いかと言えば、なっちを間近で見られることはもちろんのこと、余計な掛け声、光物の応援グッズ、曲調やリズムに関係無く跳ぶ人踊る人、その全てが無い、歌を聴くためそしてなっちとの静かなひと時を過ごせる貴重な場であるということ。さらに普段なら何千何万もの人に向かって歌うなっちが、今ここでは間違いなく自分を含むたった80人だけのために歌ってくれているのを肌で感じられることです。
 少人数ゆえに招待状を手に入れるのは極めて困難ですが、その代わりに大人数のファンの集いでは実現できないことがぎっしりと詰まった素晴らしいパーティであり、それに参加できたことは本当に幸せだったと思います。

なっちサイン それでは話は開演前にさかのぼります。
 マケNが会場に着いたのは開演50分前の午後6:10です。その手には先ほど用意したひまわりの花束が握られています。既に入り口前には20人程が並んでいましたが、コンサート会場前でいつも見られるようなダレた雰囲気は無く、場には既に緊張感が漂っていました。
 同6:30、定刻通りの開場となり天国への階段を一歩一歩上ります。会員証などのチェックを済ませいよいよ店内にに入ると、聞いていた通りDVDの即売をやっています。購入者にはもれなくなっちのサインが付いてくるので素通りすることはできません。幸いこれまで購入を控えていたミュージカル「おかえり」があったのでこれをチョイスしましたが、もしその場にあった全てのDVDを持っていたとしても当然何か買ったでしょう。できることなら「Alo-Hello! 安倍なつみ」の予約でもOKにして欲しいけど、そこまでお人好しのFCじゃありませんでした。(商売うまいや)

 クロークでは手荷物と共にプレゼント用の花束も預けるように指示され、他の方のレポによればプレゼントは握手会の際に手渡しできるらしかったので素直に従います。しかし後になって包装紙に包んだまま預けてしまったことを思い出し、いざというところで慌ててビリビリやるのも格好が悪いので事前に剥しておこうと、クロークに戻り花束を持って来てもらうようにお願いしました。ところが、『もうお返しできません、手渡しすることもできません』と一蹴され説明もなく全く取り合ってもらえません。
 結局メッセージカードを付けることもできずこれでは事実上の没収です。よっぽど食い下がろうかと思いましたが大事の前の小事、こんなことで腹を立てたらせっかく高ぶった気分が台無しです。(なっちの元に届くならそれでいいじゃないか)と自分を納得させおとなしく席に着くことにします。
4人テーブルの上

 自分のテーブルに案内されると既に一人着いていたので一言挨拶をして着席します。刻一刻と緊張が高まっていく中、程なく同じテーブルの残りの二人も現れましたがお互いに全く余裕が無く、この時は挨拶を交わせませんでした。
 マケNの席はやや後ろながらも通路側という好位置です。A席とB席の間は通路といっても人一人通るのがやっとの幅しかなく、ここをなっちが通れば自分との距離は僅か数センチしかありません。目が合ったらどうしようとか、その時どんな顔をしようとか期待と不安と妄想が膨らんでいきます。
 テーブルにはアンケート用紙が置いてあり、今回の感想や要望、なっちへのメッセージなどを記入できるようになっています。詳細は省きますが「楽曲のリクエスト」欄には今自分の中で「空 LIFE GOES ON」と並ぶ最も泣ける曲である「GOOD BYE HELLO」を書いておきました。
(写真をクリックするとアンケート用紙の再現版がご覧になれます)

自席から見るステージ 写真は客席から見たステージです。ステージの近さと通路の狭さが伝わるでしょうか?
 開演時間まで残り10分となり話をする人もほとんど無く、とてもこれから食事をするという雰囲気ではありません。そんな中、友人から様子を伺うメールが届きましたがとてもまともに返事を書く余裕は無く、『やばいです。たすけて〜。』と書くのが精一杯でした。
 このあとしばらくは緊張に加えてテーブルマナーとの闘いになり、お通夜よりも暗い食事の時間が続くので省略しますが、魚が食べられないマケNにとってマグロのミ・キュイ(タタキ?)は拷問でした…。(なっちが作ったと思って食え!)と頑張りましたが3口でギブです。でもあとから思えばこのどうでもいいと思っていた前座の食事ですら、なっちの登場をじらすための演出だったのかも知れません。

 休憩を挟んでいよいよ本当のメインディッシュの時がやってきました。場内が暗転して生演奏による「22歳の私」のイントロが流れる中をなっちが静かにその姿を現し、名前を連呼する者や奇声を上げる者は一人も無く大きな拍手がなっちを出迎えます。写真で見た前回の公演の時の白いドレスとは変わって、淡いピンクのドレスの上に薄いカーディガンを羽織っています。この時点でなっちとの距離は大会場の最前列よりよっぽど近い場所で、あらためて今自分がとんでもないところにいることを実感します。曲が終われば先ほど同様歓声ではなく大きな拍手がなっちに送られました。

 続く「晴れ 雨 のち スキ?」はあのウンザリするPPPHの無い最高の雰囲気で歌を聴くことができました。ここにいる他のお客さんの中にも普段のコンサではPPPHを入れている人が大勢いると思いますが、今日のこれを体験したことで、歌を聴く姿勢だったり曲や場の雰囲気に合わせた応援をすることの大切さに気付いてくれた方が少なからずいたと信じたいです。

 3曲目の「夢ならば」が始まるとそろそろ涙腺がヤバくなってきて、視界の中のなっちが僅かに霞みます。気がつくと通路の真ん中で怪しいおっさんがしゃがんでいて、何かと思ってたら突然客席が明るくなってなっちがこっちに歩いてきます! おっさん…、もといスタッフの方はなっちの露払いだったのでした。一歩一歩近づいてくるなっちは客席の一人一人に笑顔を送るように視線を送っています。そしていよいよ目の前になっちが来た時、その距離僅か数十センチ! しかしここで(自分にとって)不測の事態が起こりました。すっかり暗順応した目になっちの肩越しから強烈なスポットライトを浴びせられ、目が眩んで何も見えません。気がついた時なっちは既に自分の横を通り過ぎていました…。_| ̄|○ 通り過ぎたあとでもずっと後ろを向いてなっちを見ていれば戻ってくる時に表情が伺えたはずなのに、固まったままそれすらしなかったバカなオレでした…。
 とは書いたものの、その微笑は天使でありながら放つオーラは女神を凌ぐほどです。眩しすぎるのはスポットライトではなく、なっちの方だったのかも知れません。

 4曲目にはこの追加公演の序盤では披露されなかった「恋の花」がついに加わりました。この曲では流れるような速いテンポの島谷サウンドとの組み合わせがなっちの新しい魅力を引き出しています。しかし意表をついてここで歌われたのはCDとは異なるアレンジメントに明らかなスローテンポのバージョンで、逆にこれがとても新鮮でした。
 (Windowsユーザーの方はWMPで再生速度0.95にすると疑似体験できます。音程は同じで速さだけを変えられます)

 カヴァー曲を2曲挟んで「…ひとりぼっち…」、「だって 生きてかなくちゃ」と続き、9曲目には今回が初披露となる「愛ひとひら」が歌われました。この曲はコンサート会場ではなくこのような場で歌うことこそが相応しい逸品だと思いますが、今後新曲がリリースされればDSがまた行われたとしてももう二度と生で聴くことはできないかも知れません。

 そして10曲目、「空 LIFE GOES ON」…。
  ♪悔しかった 出来事でも やがては 思い出

 マケNがどうしても生で聴きたかった歌です。先日の秋ツアー@館山ですでに聴いてはいますが、このような雰囲気で聴くのとでは全く別物です。この曲がリリースされたタイミングや個人的な思い入れもあり、ここまでこらえていた涙腺もついに切れてしまいました。でも明るい笑顔でこの歌を歌うなっちを見ていると、『前へ進むことこそが大切なんだ』そんな気になってきます。

 次のMCで、終了後はお客さんをお見送りする旨を伝えます。同時に次の曲が最後であることも伝えるのですが、コンサでのような『えー!』っというお約束は聞こえず、その瞬間に客席の空気がさらに張り詰めたように感じられました。そのラスト11曲目は「ふるさと」です。最近の娘。コンでも度々歌われていますが、さすが本家は貫禄が違います。そして全ての演目が終わると、二度三度と客席に深々とお辞儀をして退場していきました。

 順番はいいかげんですが、MCについて覚えていることを書いておきます。
 なっちが『○○ですよね』、みたいに客席に問いかけるように話す場面が何度かあって、普段のコンサートだったら必ず何人かの客が反応するところです。でもこの雰囲気で茶々を入れることなんて誰もできず客席はシーンとしたままで、慌ててなっちが自分で『○○なんですよ』と言い直すと客席から笑いが漏れます。これを見たなっちは『なんか絶妙の間ですね』と言ってしまうのですが、すぐに気がついて『絶妙じゃない、微妙な間だ!』と言い直すと今度は大爆笑が起こりました。
 数日前に髪を切った話で、『髪を切ったんですよ、気がつきましたか?』と問いかけるのですが客席はやっぱり固まったまま。これに『前髪ちょっとだけなんですけどね、判らないですよね、切ったんです』とちょっぴり噛み合わないところもありましたが、なっち節はさらに続きます。季節が秋になり寒くなったいう話では、『なっち、よくお散歩に行くんですよ。この間も公園に行ったんですけど…、「おぉ、さむっ」てすぐ帰ってきました。(おわり)』このオチのない話には客席から拍手を交えた爆笑が起こりました。
 他には、DEF.DIVAのダンスレッスンなどで日々忙しいこと、でもメンバー全員揃っての練習がなかなかできないこと、10月の文化祭には「あの二人が久しぶりに登場する」、という話がありました。「久しぶりの二人」が誰なのか? 『ヒントは〜?』の突っ込みもうまくかわして結局ノーヒントです。『(知りたい方は)ぜひ文化祭に来てくださいねー』の言葉には客席からもたくさんの『はーい!』の声が上がりました。文化祭は回避するつもりだったのに自分もつい返事してしまった。どうしよう…。

 それではいよいよデザート、いや本当の本日のメインイベントである握手会の模様です。
 公演終了後、AおよびBテーブルのアンケートを書き終わった人から順番に列に並びます。マケNは開演前にほとんど書き終えていたので、簡単に追記してすぐに列に並びます。前には既にかなりの人数が並んでいたのですが、進むのがやけに早くてあっというまに自分の番が回ってきました。ストロボの閃光が見えたので記念撮影があることは間違いない様でしたが、ひょっとしたら握手無しかと思ったくらいの早さでした。カーテンをくぐるとなっちは既にスタンバイ。この時は確かになっちの姿を確認することができました。咄嗟に(お疲れ様でした)の一言が出なかったのが悔やまれます。黒枠に立たされた後はいつ撮られるか分からないので目線を逸らすことができず、すぐ隣にいるはずのなっちがどんなポーズを取っているのかは全く分かりませんでした。

 次の記憶は自分に差し出されたなっちの両手です。こちらが右手を出すと握手というより両手で包み込むように優しく握ってくれて、ついにこのイベントのヤマ場を迎えました。よし、徹夜で考えたあれを言うんだ! 『あの…』、しかしそう言ったきり次の言葉が出ません! 必死に頭の中でカンペを探すけど見つからない!焦る! (頑張ってください)この一言を言って終わりにしてしまえばすぐに楽になれるけどそれではあまりにもチープです。
 この間数秒、なっちは手を握ったままじっと待ってくれている。強く握れば壊れてしまいそうな小さく柔らかな手から確かな温もりが伝わってくる。(これまでか…)、そう思った次の瞬間スイッチが入りました! そして一気になっちへの想いを伝えます。『子供のような笑顔で変わらないなっちも、どんどん素敵な女性に変わっていく安倍なつみさんもどちらも大好きです! お体に気をつけてこれからも頑張ってください。』
 遠くで『ありがとうございます』と声がしたような気がした。その表情は穏やかに微笑んでいたような気がした。目の前にいたはずのなっちなのに、その声もその表情も記憶に留めることはできませんでした…。過去にも経験したことですが、これは忘れてしまったのではなく映像と音声が脳に届かなかったと言った方が正しくて、人間はあることに集中しすぎると他の機能や感覚がシャットダウンしてしまうんです。だからそれと引き換えにしたなっちの手の感触だけは信じられないくらい鮮明にそして深く記憶に刻まれました。
 あの状況でその場で言葉を紡いで話すなんて離れ技ができるはずも無く、頭の中のカンペ丸読みもバレバレだったと思うし、しかも肝心の名前のところで噛みもしましたが想いは伝えることができました。そして大きなイベントでの握手会のようにスタッフに押し流されることもなく、気持ちの良いお別れでその場を後にすることができました。

 外に出て気がつけば手にはいつの間にか受け取った写真がありました。そしてゆっくりと浮かび上がってくる自分となっちの姿がたった今起きたことが夢じゃなかったことを証明してくれます。その大切な写真をケースにしまおうとするのですが手が震えてなかなか入れられません。そしてようやく写真をしまった瞬間、緊張が解けた安堵と今までのどんなコンサートの後でも味わえなかった満足感が一気に込み上げてきて涙が溢れてきました。必死に涙をこらえるのをを周りの人に見られるのは恥ずかしかったので、バスには乗らず一人渋谷の駅へ向かい、本当は大きな声を上げて走り出したい気分でしたが、なっちの思い出をこぼさないようにゆっくりと歩いて家路についたのでした。

今日は自分のハロ史に残るこれまでで最も大切な一日になりました。
なっち、本当にありがとう!!!

バンダナはハメコミ合成です
 スタッフに黒枠に立つよう指示されたところで、僅かですが意識して体と顔をなっちのほうに向けて立つようにしました。
結果は予想以上! 正面向いて並んだだけよりも親しそうに見えるでしょ(^^;)



 なお、店内での撮影については事前に了解をいただいています。なっち登場までは自由に撮影が行えますが、食事中の撮影やストロボの使用などマナー違反にならないように十分ご注意ください。またこの素敵な雰囲気ををより楽しめるよう、ジャケットやネクタイ着用など相応しい服装で行かれることを強くお勧めします。(写真のバンダナはハメコミ合成ですよ ^^;)

2007/9/10 なっちCDSレポートはこちら

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