この夏は某電力会社の原子力発電所の稼動数が少ないため、私の勤務している工場が節電に協力すべく、夏休みを分散、あるいはずらして設定している。その一環として、この18日の金曜日が休みとなった。代わりに別の週の土曜日に出勤する。私のような局めぐり家にとっては大変ありがたい事であり、毎週やってもらっても全然構わない(笑)。

晴れたらこんなに綺麗です。
(本栖湖畔から撮影、12月)
前の日に送別会を兼ねた麻雀大会があり、最後の半荘に西入するという最悪のパターンとなり、終わったのが午前1時過ぎ。そこからへろへろ帰って風呂入って寝たが、2時を過ぎていた。6時には起床したが頭が痛い。どうしようかと考えたが、平日の1日休みを無駄にするのは有り得ない事なので行くことに。学生の頃ならさぼったかもしれないが、今となっては1日休みは大変貴重だ。訪問ルートもろくに考えていないが、とりあえず1局目は
富士山五合目簡易郵便局にすることだけは決めていた。渋滞する中央道だが、平日の朝の下りならば大丈夫。順調に走って、河口湖には8時前には到着できた。今年は梅雨明けが遅く、また雨の日も多い。
この日もどんよりとした曇り空で、富士山の姿はどこにも見当たらない。富士山の五合目には富士スバルラインという道を通らねばならず、これが通行料往復で2,300円とこれまた高い。またハイカも使えないときたもんだ。料金所には五合目の天候がホワイトボードに書かれており、「晴れ、富士山頂まで眺望できます」とあった。その通り、四合目を越えたあたりで眩しい太陽が姿を見せた。下界は深く垂れ込めた雲だが、上は晴れていた。しかし五合目まで来るとガスが覆っていた。まだ8時半だが、観光バスがうようよ止まっていた。どうやら駐車場はただのようで、レストハウスから少し坂の下にあるところに入ることができた。外はひんやりしており、持ってきた上着を着込む。

富士山五合目簡易郵便局
レストハウスの1階にある。

標高2305mの看板。
貯金を扱う郵便局の中では
最高所に位置する。
富士山五合目簡易郵便局はレストハウスの1階にあり、外にはちゃんと〒マークやポストもある。まだ貯金は営業前だが、郵便は既に店を広げている。威勢のいいおねいちゃんが貯金の担当らしく、あと5分まってねーとの事。トイレに行ってみると、チップ制らしく50円と書いてある。中には張り紙で
「富士山には水は全くありません。河口湖からトラックで1台20,000円で運んでます」だそうで。富士山の山頂のトイレ問題も随分深刻だと聞いたこともある。しっかり5分前に局に戻ると、さっきのおねいちゃんが貯金コーナーを開いていた。スタンプは5種類ばかりあるらしく、10行くらいぶち抜くものまで用意されている。今回はページの残りが5行くらいしかなかったので、5行分のやつをお願いした。営業時間は9時から16時までと普通の局と変わらないが、開設期間が4月1日から11月30日までだ。が、おねいちゃん曰く、雪や道路の状況で変化するらしい。風景印でも押そうかと思ったが、先を急ぐのでやめた。帰りも五合目はガスだが、四合目は晴れており、そこより下はどんより曇りだった。上りは40分くらいかかったが、下りは25分くらいで駆け下りてきた。愛車マーチも順調に駆けていく。富士山の北側に広がる青木ヶ原樹海を走る国道を行く。ここは自殺の名所らしく、前に来た時は自殺を思い留まるよう呼びかける看板があり、ちょっとびびった。途中で県道に折れ、樹海を抜けると高原が広がる。
富士ヶ嶺簡易郵便局は農協の中にあるが貯金を扱っている。富士山五合目からほぼ1時間でたどり着けた。周りにはあんまり人家もないが、お客さんはわりといた。

本栖簡易郵便局
交通量の多い国道に面している。
ここから朝霧高原を越えて静岡県内を巡る事もできるが、今回は山梨県内がお目当てなので、本栖湖方面へ引き返す。本栖湖のほとりには集落があり、レストハウスなども建ち並んでいる。
本栖簡易郵便局は国道沿いにあるが、この先に
精進郵便局があるのでそちらを先に行くことにした。樹海の中を走っていくと、精進湖入口と書いてある看板があり、そちらと反対方向に入ると別荘地街に入る。別荘や民宿が整然と建ち並ぶ、なんとも近年に開拓された集落のようだ。民家はあんまりないようだが、ここは特定局が配置されているのが意外だった。局舎は昔ながらのもので、最近流行りの郵政公社のポールも建っていなかった。
最近思うのだが、郵政公社化以降でもポールが建たない局って、将来的にはなくす方向なのではないか?場所的な制約がある局は別にして、どうもそういう傾向があるようでならない。続いて先ほどの
本栖簡易郵便局に戻って訪問。ここは簡易局専業のようで、綺麗な局舎だ。さてここからは富士川沿いの局を巡るため、少々移動しなければならない。本栖湖沿いの国道を走って峠を越える。途中、トンネルの手前に本栖湖を望む展望台があり、ここからの富士山の眺めが新渡戸稲造の五千円札の裏に描かれている景色だそうだ。今日は曇りで富士山の形も見えない。峠を越えると延々とつづら折れの道が続く。下りきった所で国道の旧道に入り、更にわき道へ入ると
古関郵便局があった。その道を更に進んでいくと、
久那土郵便局に到着。ここは局の外に風景印の印影が大きく飾られていた。身延線の沿線まで下りてきて、富士川沿いの集落も拓けてきた。六郷町の中心街の中にあるのが
峡南郵便局だ。六郷町にはこの1局しかない小さい町だが、この郵便局はでかい。局番も大きめなので、後からできた地域の中心局のようだ。

山保簡易郵便局
山中にある貯金非扱い局。
7月31日限りで閉鎖となる。
お次は今日のもう一つのお目当て局である
山保簡易郵便局を目指す。ここは日本郵政公社のHPによると7月末で一時閉鎖になる。一時閉鎖したまま廃止って事もあるので、今のうちに訪問してこうという事だ。農協受託の貯金非扱いのため、もしかして個人受託になって貯金取り扱い化、な〜んて事になったらもう一度来ないといけないが。身延線沿いの県道からわき道へ入るのだが、これが分かりにくい。狭いトンネルをくぐって細い山道を上っていく。どんどん上ってさっきまでの富士川沿いの集落がはるか下に見える頃、山の斜面に集落が見えてきた。周りの山が自分の目線よりも下に見えている。お目当ての
山保簡易郵便局は坂道の途中に鎮座していた。どこから見ても農協で、入るとおばちゃんが一人、窓口業務をされていた。早速定額小為替を所望するが、最近訪問する人が多いらしく、50円、100円のは売り切れらしい。
皆様お耳が早い。別に額面にはこだわりはないので、200円のを1枚購入した。おばちゃん曰く、なんでも為替印の印影が汚いといけないので、納得してもらうためにお客さん自らの押印をお願いしているそうだ。私も決して上手くはないし、汚きゃそれはそれでOKなのだが、せっかくなので押させてもらった。結構使い込んである印で、糸くずなんかも付いていた。それなりの印が押せたところで少々聞き込みをしたが、一時閉鎖ではあるがほとんど廃止に近いらしい。地元で受託者を募集したが希望者はなかったとの事。もしなんでしたら私なんぞどうでしょうか・・・、と思ったがちょっとこの場所は・・・(失礼)。建物を写真に収めて後にした。

鰍沢新田簡易郵便局
国道沿いにある簡易局で、
写真には写っていないが右手の
壁に大きく〒マークが描かれて
いる。
先ほどの身延線沿いの県道まで戻り、少し市川大門方向に行くと、カーブの途中に
黒沢郵便局があった。駐車スペースが無くてちょっと苦労した。続いて富士川を渡り、国道沿いにある
鰍沢郵便局だ。ここは町の中心局とは思えないほど小さな局で、車を停めようにも集配車が入るスペースしかない。幸い集配車はいなかったので、そこにお邪魔してしまった。局内は昔ながらのL字型の窓口配置で、ここが山梨の4番を名乗っていた。ちなみに「かじかざわ」と読む。次は少しわき道に逸れるが、次回の効率を考えて少し山に中に入った
穂積郵便局を攻略しておく。やや迷いながらも山道を上ったところに発見できた。農協の隣にあり、その隣には道をまたぐようにお寺の門が構えていた。車もくぐれるようになっており、これは珍しい。このあたりからかなり眠くなってくるのだが、有効時間帯に休憩など有り得ない。
どこかで抜いたりすると、16時前にあと1局〜って所で駄目だった時、後悔する要因になるからだ。愛車マーチも大変なオーナーにめぐり合ったもんだ。朝から富士山に登らされ、その後も急発進急加速急ブレーキの連続だ。山を駆け下りて国道まで戻り、少し韮崎方面に行くと道の右手に
鰍沢新田簡易郵便局がある。簡易局にしては立派な建物で、駐車場の壁には大きく〒マークが描かれていた。受託者さんは私とそう変わらない男性の方で、大変愛想が良い方だった。

鰍沢鬼島簡易郵便局
ここは発見しにくい。
国道を南から来る場合は、写真
にも写っているが電光掲示板が
目標になる。
9時〜16時まで営業。
臨時休業日は不明。
続いて国道を南へと取って返し、先ほどの
鰍沢郵便局の前を通過。さっきはいなかった集配車が駐車スペースに入っていた。しばらく川沿いの道を行くと、左手に
鰍沢鬼島簡易郵便局があるはずなのだが、どこにも見つからない。などと言っているうちに次の
鰍沢中部簡易郵便局が見えてきた。ここは農協受託なので貯金はできないと思い込み、先に定額小為替を所望してしまった。貯金ができると聞いて慌てて貯金をお願いした。「
鰍沢鬼島簡易郵便局が抜けてますね」と受託者さんからご指摘を受ける。あまりにも距離が近いので廃局かとも思ったが、どうやら健在らしい。こちらから行くと国道の右側にあり、ポストが目印になるそうだ。御礼を言って車で1分も走ると、なるほどポストが見えてきた。
しかし簡易局を匂わす〒マークはどこにもかかっていない。よく見ると木の板に墨で書かれた
鰍沢鬼島簡易郵便局の文字が。かなり薄くなって読み取りにくかった。これは発見難易度4くらいか。自己主張のない、極めて控えめな簡易局だ。中に入るとなんとも言いがたい・・・。簡易局のコーナーはしっかりとしていたが、商店の部分はスペースの8割が遊んでいた。どうも農協の支所だったような造りの建物のような気がする。鬼島と中部の両方とも農協の支所が簡易局を受託し、農協の統廃合で鬼島支所が廃止になって簡易局だけ残った・・・、などと勝手な想像を膨らませるのだった。いずれにしてもこの異常に近い2局には何かあるのだと思うのだった。

五開簡易郵便局
特定局からの格下げのようだ。
味のある局舎が気に入った。

大須成簡易郵便局
公民館の中にある簡易局。
診療所も兼ねている。
先ほどの
鰍沢中部簡易郵便局まで戻り、わき道を山のほうへ入っていく。しばらくくねくね行くと、集落の中に
五開簡易郵便局が見えてきた。なんとも味のある局舎で間違いなく戦前から存在する局舎らしく、表には「局便郵開五」の文字が。中に入っても木造のいい味を出しており、それでいて適当にリフォームされていた。写真にしっかり収めて先ほどの国道まで戻る。トンネルの手前で国道の旧道に入り、西島の集落に入る。
西島郵便局はこの旧道の更に細いわき道に入った所にあった。
いかにも局長さんの家に隣接して建てました〜って感じの特定局だ。隣には山車を収納する倉庫なんかもあったりする。局の看板が非常に達筆なのも目を引く。ここではうちわを戴いた。スタンプにもあるように和紙の里らしく、このうちわも和紙でできていた。次はまた山の中へ入っていく。細い道を進み、途中にダートの道まであったりしたが、それらしき集落に到着。ほどなく道沿いに
大須成簡易郵便局を発見。車を停めていそいそと扉に手をかけるが開かない・・・。二枚戸だったのでもう片方を開けてみるがだめ。もしかして横に開くのではなく、縦方向かと思ったが、そんな事はみりゃあ分かる。どうやらご不在らしい。仕方ないので電話攻撃を仕掛けるべく車に戻ろうとすると、農耕用軽トラがやってくる。「ごめんね〜」と受託者さんがこちらに駆けてきた。どうやらお昼休みだったようだ。なんとここは局の窓口に行くまでに靴を脱ぎ、畳の部屋を横切らねば行けない構造になっていた。こりゃまた珍しい。地域の公民館と診療所を兼ねているようで、診療日ならばここで医者が店を広げるのだろう。そうなるとちょっと横切りづらい気もするが・・・。お手洗いまで拝借して局を後にした。

共和郵便局
おでこの広い局舎だ(笑)
郵政公社のポールは見当たら
ない。
またまた国道まで戻り、少し南へ行くと
切石郵便局に到着。国道沿いにあるが、めんどくさかったので国道の脇に寄せて路駐攻撃してしまった。もうこの頃になると睡魔との戦いだ。ナポレオンは睡眠時間が4時間だったと言うが、私には到底アカン。7時間は寝ないとね。続いて富士川を渡って少し行くと、
共和郵便局に着く。この局も先ほどの局と大して離れておらず、郵政公社のポールも建っていない。
局舎自体も簡易局と大差なく、この局には予算が下りてないな〜というのがよく見て取れる。局めぐり家にとってはこういう味のある局舎の方がいいんですけどね。局員さんもお一人で頑張っておられた。しっかりと写真に収めるがフィルムが切れてしまった。国道沿いにカメラ屋さんがあったので、寄り道してフィルムを調達した。さて、ここからまたまた山の中へと入っていく。このあたりは国道沿いと山に入った所の両方に郵便局が立地しており、訪問するには非効率な立地だ。山の方にあるのは簡易局なので万難を排して行きますけどね。ループあり、トンネルありで峠を越え、集落の中でT字路に突き当たって右へ行くと、公民館らしき建物の中に
曙簡易郵便局があった。ここは専用のカウンターが出入り口の所にあり、中までお邪魔しなくても良い。おじいさんがてきぱきと処理して下さった。そろそろお腹がすいてきたため、国道まで戻ってコンビニにて戦闘用おにぎりを購入した。ついでに場所が分からない
飯富郵便局のありかも聞き込んでおいた。国道沿いにあるのだが、ちょっと引っ込んでいて見つけられなかったらしい。おにぎりを頬張りながら局へと入っていく。
次は再び下部町に戻る形となる。国道から山道をくねくね行き、1車線分しかないトンネルをくぐる。「先入車優先」と書いてあるので、入るときにパッシングして入っていく。ラジオからは山梨ローカルな番組が流れ、はなわの佐賀県の歌に対抗して山梨県の歌を作って流していた。山を下ると身延線の踏み切りを越え、甲斐常葉駅の近くに
富里郵便局があった。道路に対して斜めに建っており、なんとも控えめな局舎だ。集落の真ん中にあって道も狭いが、駐車場があったので助かった。続いて隣の駅の下部温泉駅のそばにも
下部郵便局がある。こちらは本当に駅前直近に位置していた。温泉街の中にあり、大きな観光バスが出入りする温泉ホテルが建ち並ぶ。ちょうど上りの普通列車が発車していくところだった。駅でちょっくらトイレ休憩の後、ここからのルートを探索。
ここはひとつ、山梨のある意味最難関である早川町を攻めてみることにした。南アルプスの麓で、南北に長い町なのに入り口は南側にしかない。よって最深部にある
西山郵便局になんとしても16時までに着かないと、とんでもない行き残しが発生してしまう。行くと決めたからには眠気に気合を入れ直して出発。早川町に入る前に、身延町の1局だけ寄り道しておく。国道の裏道に入った所に
下山郵便局がある。ここだけ身延町の北のはずれにあり、次回の効率を考えると抑えておきたかった。綺麗な局舎に若いおにいちゃん局員さんがティッシュを下さった。さてさて、残り1時間ちょっとだが、早川町の最深部向けて出発だ。
国道から県道に入るが、その名も「南アルプス公園線」。ふと脇にガソリンスタンドがあり、そろそろ空に近いので入れようかと迷ったが、時間が惜しいのでパス。早川町に入って少し行くと左側に集落があり、その入り口に
七面山口郵便局があった。綺麗な局舎で、私の手元の地図では
本建郵便局になっていたので、移転改称したのだろう。その旨、局員さんに伺うとご丁寧にお答えくださった。帰って地図を見たらこの奥に七面山という山があるそうだ。しかしこの時はそんな事は全く頭に無く、七面鳥が頭の中を飛んでいった気がする。ここが役場に一番近い郵便局で、その先で道は2つに別れる。左に行くと1局、右へ行けば3局ある。
もちろん全部行くつもりなので、先に1局ある左方向へ進む。狭い山道を、遅い前の車に行く手を阻まれながら進んでいく。やがてダム湖のほとりに出て、トンネルを抜けると即右に折れれば
硯島郵便局がある。本当に集落の入り口に立地しているため、これ以上集落の奥は見えなかったが、恐らくダムに水没を免れた集落が集まった所なのだろう。一見、こんな所に郵便局、と思ってしまうが、この奥にもまた別の集落があるらしい。局舎は田舎の小ぢんまりとした感じのものだった。貯金をお願いして、先ほど来た道をそそくさと引き返す。今度は邪魔がいなかったので5分ほどで分岐点まで戻ってきた。残るは3局、南アルプス公園線をひたすら北上していく。
道もだんだん細くなり、急な坂道も出てきた。この辺りからガソリンの残量がほとんど「E」を指すようになり、さすがにやばいと感じ始めた。しかしアクセルを緩めるわけにもいかず、がんがん吹かして山道を進んでいく。やがて集落の中へと入り、信号機のあるカーブの所でわき道へと入る。地図にある通りの場所に
早川郵便局があった。局の前には小さな用水路に水が勢い良く流れており、山の中の町を実感する。ここで15時半くらい。
局員さん曰く「この先の三里郵便局は行けるけど、西山郵便局までは無理だねー」との事。確かに最深部の
西山郵便局はちょっと苦しいかとも思ったが、とりあえず行くしかない。会話もそこそこに局を飛び出していく。南アルプスの中を早川が作り出した谷を進んでいく。川沿いに平地もまあまああるのだが、民家はまばらだ。ガソリン残量もいよいよ少なくなり、このままガソリンスタンドが無かったらどないしよ、と思っていたらやがて道の脇にガソリンスタンドが見えてきた。仕方ないのでここでマーチくんに餌をやることにした。表題にある立ち往生というのはガス欠の事ではない。この後、とんでもない立ち往生があった・・・。スタンドには人がいないので周りを見回すと、畑からおばちゃんが走ってきた。時間が無いのでちょっと急がせてしまった。すみません。ついでに
三里郵便局の場所も聞き込みしておく。
伺った通り、県道の裏道沿いに
三里郵便局があった。ここの局員さんは「
西山郵便局までぎりぎりやね〜」との事。飛ばしてきた甲斐があった。残り20分、最後のスパートに入る。民家もまばらな山中を走りに走り、やがて「徳川家康の隠し湯、西山温泉」の看板が見えてくる。温泉地と言っても温泉旅館が林立している訳ではなく、豪勢な旅館が1軒と、小さいのが2、3軒ある程度だった。道の右手にある旅館が相当年季の入った建物で目を引いた。
西山郵便局はその豪勢な旅館の隣にちょこんと建っていた。
時刻にして15時55分。5分も余裕を持って到着できた。思っていたよりも綺麗な、立派な局舎で、自動ドアの中にはおじさん局員さんが2人いた。無事貯金を終えてこれにて終了。結果的にはほとんど無駄の無いスケジュールとなった。エコー葉書を10枚ほど所望して、悠々と局を後にした。さてさて、先ほどの
七面山口郵便局で早川町のガイドマップをいただいていたので、温泉をチェックする。ここから更に奥に行った所に奈良田温泉という外湯があるそうだ。少し車を走らせると、ダムが作り出した湖の畔に出て、その脇に奈良田の集落があった。道の脇には温泉旅館が1軒あるが、お目当ての外湯は小高い丘の上にあった。駐車場は下にあり、歩いてしか行けないらしい。小雨が降る中、あじさいが綺麗に咲く小道を通り抜け、昔風の建物をあしらった「奈良田の里温泉」へと足を運ぶ。400円だかいくらか忘れたが、事務所の中にいるおばちゃんに声をかけて払った。食堂は15時までの営業らしく、また平日なのもあってかひっそりとしている。風呂場は特にこれといってぼろくも無く、豪華でもなく、程よい程度の設備だ。中には地元のおじいさんが2人浸かっていた。泉質はなんというかすべすべな温泉で、無色透明。朝からハンドルを握り続けてきた手もさっぱりした。
30分ばかり温泉に浸かってさっぱりしたが、一気に眠くなってしまう。外は小雨で涼しいので温泉から上がれば少し目が覚めた。建物の周りにはあじさいが綺麗に咲いており、しばし鑑賞させてもらった。さてさて、ここから帰らねばならない。地図を見ると林道経由でショートカットする道があるようだが、延々と長そうなのでパスして、もと来た道をたどって南回りで帰ることとした。奈良田の集落を後にして
西山郵便局、
三里郵便局とさっき来た郵便局が窓の外を通り過ぎていく。20分も走ったろうか、なんか猛烈に眠くなり、場所はどこだか分からないが道の脇のスペースに車を停めて寝てしまった。気づけば1時間が経過しており、やっぱり温泉は効いた。でもおかげで眠気はすっかり無くなった。帰り道は本栖湖経由で河口湖まで下道をひた走った。下部町から本栖湖畔までのつづら折れの山道を上りきると、日もとっぷり暮れてしまった。河口湖までたどり着いた所で、吉野家でとりあえず空腹を満たしておく。ここからは高速で一気に府中まで突っ走る。渋滞もなく、快調に大月JCを通過し、相模湖の辺りを走っていた頃だったろうか・・・。
急にマーチくんのエンジンが「かりかり」という音を立て始めたではないか。最初はラジオの音かと思ったが、ラジオを消しても聞こえてくる。しかしちょうど小仏トンネルに向かう坂道の途中のため、エンジンを吹かさないと登りきれない。マーチくんに気合を入れる意味も込めて、思いっきり踏み込んだ時、突然エンジンのパワーが無くなり、黄色いエンジンチェックの警告灯が点灯してしまった。みるみるスピードが落ちていくので、ハザードを点滅させて路肩へと車を停めた。あ〜あ。
しばし混乱してしまったが、落ち着いて水温計を見ると、いつもより少し上がっていた。別にエンジンが止まった訳でもなく、恐る恐るアクセルを踏めば前にも進む。なんだ、ただのオーバーヒートだと判断し、しばらく様子をみることにした。しかし5分待っても10分待っても警告灯が消えないので、しびれを切らして路肩を30km/hほどで走らせてみた。ちょっとかりかりいうが前には進むので、このまま峠を越えれば何とかなるって事で進んでみた。
ところがとんでもない事に、この辺りは登坂車線の拡幅工事をやっており、路肩が無くなる箇所が存在するのだ。最初の1箇所は、後ろに車が来ないのを確認して30km/hでなんとかやり過ごしたが、やっぱ大迷惑だ。しかも2箇所目は急な坂道の所にあり、エンジンもいよいよかりかりいい出す。流石にこれまでか、と判断して路肩に車を停めた。懐中電灯を取り出し、高速の路肩をとぼとぼ非常電話まで歩く。ちょうど谷をまたぐ橋の上に停めてしまったようで、柵の向こうは遥か下に民家の明かりが見える。非常電話は受話器を上げると勝手に係員に繋がるようになっており、事情を説明。こういう場合はこの電話をレッカー業者に転送してくれるそうだ。業者を選んでくれと言われ、JAFとあと2つあったが、とりあえずJAFをお願いした。で、今度はJAFの係りの人にまた説明。なんでも今日は混んでおり、1時間くらい待ってくれだそうだ。しょうがないので車まで戻り、今日の訪問局を地図上にチェックしながら時間を潰す。
20分くらいして後ろに車が停まるのが見えた。なんや早いやん、と思ったら高速のパトロール隊だった。レッカー待ちだと言うと、車の後方にパイロンを置いてくれた。「追突される事故も多いですから、良ければ車の外で待っててください」との事。なるほど、と外で待つことに。しかし外は小雨だし、郵便局のチェックもしたい(笑)。5分もたたないうちに車内に入ってしまった。それから更に30分、郵便局チェックも終わり次回の計画を考えていると、今度は前にレッカー車が停まった。見ると後ろにもトラックのような車がいて、発炎筒などをばら撒いている。よく見かける「事故」という看板を後ろに付けた車だろう。レッカー車からはおじいちゃんが降りてきて、簡単に事情を説明して、府中の家まで送ってくれと交渉する。んじゃそうしようって事ですんなり決まり、マーチくんはレッカー車に積載された。動かなくなっても高速の清算はしないと駄目らしく、ひとまず次の八王子インターで降りて清算する。このレッカー車の高速代とマーチの高速代の両方を払わないといけない。こりゃたまらん。また、ここから府中まで高速を使うので、改めてレッカー車の高速代を出す。流石に一度インターを出るとマーチはただの荷物扱いなのでタダだ。
このレッカー車のおじいちゃん、気さくないい人なのだが、天然ボケもかましてくれる。八王子インターから何を思ったか甲府方面の入り口へ向かっていくではないか。慌てて違うと言い、おじいちゃんも気づいて車を停めたが、既に道の分岐点を10mほど過ぎていた。しょうがないから一回相模湖まで行って、そこから引き返してこようなどと言い出すので、ごねて無理やりバックさせてなんとか府中方面へと入った。
特別付録
マーチくんレッカー代明細書
基本料 | 8,500 |
特別料 | 5,000 |
作業料 | 4,000 |
牽引料 | 17,400 |
後方警戒料 | 5,800 |
通行料 | 1,650 |
――――――――――― |
合計 | 42,350 |
車中いろいろお話を伺ったが、普通こういう場合、ひとまず車をインターの外に出して、そこから先はドライバーが適当な車屋を探して持ち込むらしい。私の場合は家から割と近かったので家まで送ってもらったが、遠いとエライ大変だ。時刻は既に22時半を回っている。こんな時間に開いている車屋もないだろう。また気になるお値段の方の交渉をするが、随分高くなるらしく、おじいちゃんは恐縮していた。私はJAFの会員ではないので、まずこれが大きな敗因だ。基本料金が17,500円もするのだが、会員ならばこれが無料になるらしい。また、牽引は600円/kmで計算されるので、相模湖から府中までは30km近くある。これを合わせると40,000円くらいいってしまう。これまたエライ高いタクシー代になってしまった。
私のようなぼろ車に乗る場合はJAFの会員になっておいた方がいいのかも知れない。今までレッカー車などのお世話になることなど全く無かったし・・・。結局、家には23時頃に到着。車を下ろして、おじいちゃんに簡単に車を見てもらう。まず冷却水がほとんど無くなっており、これはオーバーヒートか水漏れだって事になった。で、清算をしてもらい、おじいちゃんにお礼を言ってお別れした。清算のレシートを見て思ったが、あの発炎筒ばら撒いてた車に対して、後方警戒料として5,800円がしっかりと計上されていた。あんな車頼んでないぞ、まったく。オーバーヒートで停まるなら、高速本線上ではなく、サービスエリアなどの中の方が安く付くようだ。勉強勉強、ははは。最後は散々だったがようやく家に帰ることができた。
その後のマーチくんだが、工場に持ち込んだ結果、エンジンに冷却水を供給するパイプに付いているサーモスタットが壊れており、水がエンジンの方に行かなくなっていた。今はこれを交換して、何事も無かったかのように走っている。11万キロを越えたご老体のマーチくんだが、まだまだ郵便局に連れて行ってもらいますよ。