コーンシロップ
13/03/23

最近、炭酸飲料やジュースなどの甘味に糖類(ぶどう糖果糖液糖など)という表示が目立ちます。反面、砂糖の表示が減っています。この糖の原料はとうもろこしで、主な生産国は昨年2012年では米国で約3億トン。次が中国で、最近その生産量を大きく上げてきていて約2億トン。あとはブラジル、アルゼンチン、ウクライナと続きますが、その3つの国の生産量をあわせても2位の中国には遠く及びません。

このような甘味料をコーンシロップともいいます。とうもろこしといっても、日本人がイメージするスイートコーンとは違って、デントコーンのような甘味の少ない原料用コーン。食品工業用に使われるのはおもにデンプンなので、害虫の付きにくい、栽培の楽な種類がほとんどで、害虫抵抗性や除草剤耐性などの遺伝子組換え品種が85%を占めています。成分はデンプンが70%、タンパク質8.3%、油分4%、その他(水分、繊維)。デンプンや油を採った残りは家畜の飼料として使われ、廃棄される部分はほとんどありません。非常に経済的な原料作物です。

とうもろこしからできるデンプンはコーンスターチと呼ばれ、ほとんどが食品工業用に使われます。日本国内でのデンプン需要は300万トンほどですが、その約85%を輸入とうもろこし由来のコーンスターチが占めています。あとの15%は国内のいもでんぷん。とうもろこしには輸入関税を掛けない代わりに、コストのかかる国産ジャガイモ、サツマイモの保護目的で、輸入とうもろこしに調整金を課す制度が取り入れられています。

コーンスターチの利用は糖類の製造に65%、紙や接着剤に22%、ビール用4%。

異性化糖
近年、ますますコーンシロップ(異性化糖)の利用が増えています。砂糖のように結晶しにくいため、家庭用にはほとんど利用されません。反面、業務用には使いやすく、安価なため、清涼飲料水への需要が高くなっています。とくに炭酸飲料。

ぶどう糖の甘味度は砂糖を100とすると70前後。そして果糖は150前後と非常に高い。ただし、果糖は40℃以上の高温では甘さを発揮できません。さらに熱に弱いため、冷やして飲むソフトドリンクの甘味に威力を発揮します。

異性化糖は、含まれるぶどう糖と果糖の割合で呼び名が変わります。
ぶどう糖果糖液糖:果糖含有率が50%以下
果糖ぶどう糖液糖:果糖含有率が50%以上、90%以下
高果糖液糖:果糖含有率が90%以上
砂糖混合・・液糖:砂糖を10%以上加えた液糖
ぶどう糖と果糖の割合により、用途に応じた配合のものが使われます。

糖は肥満の原因
糖は小腸までにぶどう糖、果糖などに分解され、さらに吸収されます。エネルギーとして使われますが、余った分は肝臓や筋肉に脂肪として蓄積され、肥満要素となります。とくに米国では、この安いコーンシロップが炭酸飲料に多量に使われ、肥満の原因となっています。また、糖は吸収速度が速いため、高カロリーなのに満腹中枢を満たしにくい。そのため、さらなる食欲に拍車がかかり、肉などの高タンパク、高脂肪の食品を食べてしまうという悪循環が起こってしまいます。結果として、糖尿病、高血圧、心疾患などの成人病の原因となってしまう。ガンなどもその中に入るのではないでしょうか。
コーンシロップの普及によって、炭酸飲料などのドリンクの生産コストは飛躍的に引き下げられています。また、その消費を促すコマーシャルも留まるところを知りません。消費もまた増えるばかり。

万能穀物とうもろこし
安いコストで高い利益を生むとうもろこしですが、バイオエタノールの生産にも拍車がかかっており、過剰生産にもかかわらず反対に高騰も。安い食材が世界の飢えを救うこともなく、ひたすら食品産業や投資家ばかりの利益にしか貢献していません。日本では砂糖の消費は頭打ちですが、米国からすればコーンシロップの大量消費国として有望な顧客でもあります。

日本も米国とおなじく、糖の大量消費国とならなければいいのですが。農産物に関する国際的なつながりについては、食の安全と農を守る意味でも、慎重にならなければなりません