3/11に起こった東北大震災。それにともなう原発事故。その結果、日本は放射能の汚染に悩まされることになってしまいました。

みそなどの発酵食品が放射能を消してくれる、という話を聞いたことはありませんか。でもこれは間違いです。その成分が体内に取り込まれてしまった放射性物質を吸着し、体外に排出するはたらきはあるそうですが。なぜなら放射性物質はそれ自体が元素ですから、それを消滅させたり、その性質を変えてしまうことはできません。

放射性物質が発する放射線が生物の遺伝子を傷つけるといわれています。それにより、ガンをはじめ、心臓などの臓器の病気など、つまり加齢(老化)にともなって起こる疾患が起こりやすくなるといわれています。それを防ぐ具体的な方法があるとはいえませんが、まずは免疫力のある健康なからだを持つことが必要なのかもしれません。しかしそれもなかなかむつかしいことです。

地産池消とか身土不二、医食同源などといわれます。とにかく『食』とそれを支える『農』が健康の基本です。日本の文化としての食と農を大切にしなくてはならないと思います。

フリーラジカル
自然界のあらゆるもの、その一部としての人体は酸素や水、水素など、あらゆる物質で構成されています。物質とは原子と原子が結合した形で、つまり分子という安定した形で存在しています。

セシウムやヨウ素、プルトニウムなどの放射性物質から出る放射線は光線とちがって、分子を突き抜けてしまう性質があります。その際に遺伝子を傷つけてしまうことも当然あります。または水などの分子に衝突破壊してフリーラジカルという、不安定な状態の元素を作り出してしまったりします。フリーラジカルと呼ばれるものは1000以上もあるといわれていますが、その中で生物の老化を進めてしまうといわれているのが活性酸素です。

通常酸素は『O2』で安定していますが、酸素が不安定な形であったり、水の分子などが破壊されて酸素原子と水素原子が非常に不安定な形に結びついているのも活性酸素です。そのため、活性酸素は急激に他の元素や分子と結びつこうとしたり、直接遺伝子(DNA)に接触して傷をつけてしまったりもします。このとき、免疫力があれば正しく修復された遺伝子が新たに作られるのですが、からだが弱っていたり、免疫力が低くなってしまっていると、壊れてしまった遺伝子がそのまま複製されてしまうことにもなります。その結果、放射線と同じような悪影響を生物のからだにあたえてしまうことにもなります。活性酸素がすべてフリーラジカルというわけではありません。

発酵食品の良いところ
発酵食品は発酵によりビタミンや酵素が作られますが、それらの一部が活性酸素などのフリーラジカルと結びついたりして安定した形にもどす役割があるといわれています。

フリーラジカルを防ぐため、サプリメントなどの補助剤や栄養剤を摂取したりするのも方法かもしれません。でも『医食同源』という言葉があるように、食べるものが直接健康に影響するのであれば、より自然な食を守ることが大切なのではないでしょうか。

市販の漬物は
市販の漬物を製造する場合、その基本は発酵させないということです。なぜなら発酵させると、その進み具合によって毎回味がちがってしまうからです。いつも均一でおなじ味の漬物を出荷するために、発酵をさせないよう酸化防止剤や防腐剤を加え、さまざまな調味料を加えて味付けをして「それらしい」風味と食感をつけをしてしまいます。これでは食感だけが漬物の、添加物の固まりを食べているようなものです。日常的にこのような食品を食べていたのでは、フリーラジカルを防ぐどころか、自身のからだの免疫力を高めることなどとても無理といわざるを得ません。

健康はまず『食』が健全なものでなくてはなりません。私たちは今一度、『食』とはなにかについて考え直す必要があります。また、それを支える『農』がいかに大切なものなのかを再認識する必要があるのではないでしょうか。