12/01/30

2011年12月現在で、国が認可している遺伝子組み換え(GM)食品は168品種だそうです。99品種だった2009年と比べると69も増えており、まったく留まるところをしりません。さらに品目として、それまでの7品目(ジャガイモ、大豆、てんさい、とうもろこし、ナタネ、ワタ、アルファルファ)に加えてパパイアが1品種加わり(2011/12 月承認)、8品目となっています。GM食品に新しい品目が加わったのは、2006年のアルファルファ以来ということになります。アルファルファはもやしやサプリメントに利用されます。家畜の牧草にも。

昨年春には沖縄で認可されていないGMパパイア(台農5号という品種に組換え遺伝子が混入した)が栽培されていることがわかり、伐採処分されたばかり。今回認可されたパパイアは米国ハワイのレインボーという、リングスポット病(輪点病)に抵抗性があるといわれる品種。

GM添加物
一方、あまり知られていませんが、GM添加物というものもある。2011年12月現在で、6種(α-アミラーゼ、キモシン、プルラナーゼ、リパーゼ、リボフラビン、グルコアミラーゼ)、14品目が認可済み。リボフラビンは別名ビタミンB2でビタミン、酵素の一面もありますが、黄色の着色料として利用。そのほかの5種も酵素で、食品の加工、医薬品、洗剤などの製造に関っています。


2011/12現在

輪点病のパパイア
2011年12月、遺伝子組み換え技術でつくられた2種類の調味料5’-イノシン酸二ナトリウムと5’-グアニル酸二ナトリウムの混合物5’-リボヌクレオチド二ナトリウムという核酸系調味料が広く加工食品に利用されていることが発覚。その輸入量は年間数百トンにおよび、すでに約200万トンという膨大な量の加工食品に利用されています。

国内市場に出回ってしまっているこれだけの量の加工食品を撤収、回収するわけにもいかないため、厚生労働省ではとりあえずそのGM調味料の輸入と販売を中止するよう指示したとのことです。実質その大半は消費者の口に入ってしまったことになります。その安全性の評価と判断は食品安全委員会に回されてしまいました(結局認可せざるを得なくなるのかもしれない)。


2011/12現在

これらの調味料は韓国のCJ社という大手調味料メーカーのインドネシア工場で製造されたそうですが、日本で認可も受けていない大量のGM添加物がどうして輸入され、流通してしまうのか、まったく理解に苦しむところです(こんなことがあっていいのでしょうか)。

さらには、その後発覚した江崎グリコの例。日本国内で同社が製造した上記GM調味料を海外に輸出し、それを再度輸入していた。ということですが、そんなことしてもいいんでしょうか。

イノシン酸といえば鰹節、グアニル酸はシイタケの旨味成分ですが、この二種類を混合することで相乗効果が起こり、感じる旨味が格段にあがるといわれています。

発酵といえば聞こえはいいが
今までのGM添加物はリボフラビンのほかは酵素です。タンパク質やでんぷんを分解するのに使う酵素を、大量に安価に製造するためにGM微生物を使ってしまおうというものです。

調味料の製造
つい最近までの主流は、塩酸などの強力な酸によってタンパク質やデンプンを分解し、水酸化ナトリウムで中和・安定させて○×ナトリウムというような旨味調味料を製造していました。ヒトの胃で行われている消化とおなじ原理です。

しかしながら、最近では微生物・細菌に効率的な発酵をさせてしまい、目的の調味料などを短期間に、大量に生産(製造)してしまおうという方向になってきました。そのために、本来ありえないGM微生物・細菌を利用しようというものです。


例としては、サトウキビの絞り粕を液状に粉砕し、微生物などに分解させることで旨味を発生・抽出して調味料を製造することができる。本来廃棄物となるはずの粕を利用できることから、大きなコストダウンが可能になります。

現実に発酵により製造しているわけですから、これを発酵調味料と名乗ることができるわけです。もちろんGM生物を利用した場合はその旨を明記する必要があるわけですが、その痕跡がどこにもなかったりするばあいにはその限りではなくなります。なぜなら「わからない」からです。

現代は微生物にも特許が付随する時代です。GM微生物についても同じで、特殊な能力をもつものはそれ自体が商品にもなってしまう。

今回問題となったGM調味料でなくても、一般に利用されている『発酵調味料』の多くは、その製造工程やそれに含まれない部分に消費者には知らされない、グレーな部分があったりします。『アミノ酸』『核酸系』『酵母エキス』などとも表示されるこれらの調味料は、一般の時間をかけて醸造された調味料とは比べ物にならないほど質の低い、調味料と呼ぶにふさわしくない物といえるのではないでしょうか。ましてや、それを本来存在し得ないGM微生物を利用して製造することについて、大いに疑問を感じます。

今回のGM調味料の問題は、場合によっては社会的な影響が極めてたかく、しかもまちがいが起きてしまった場合、取り返しがつきません。

本来の発酵食品というものをあらためて見直し、生活に有機的に取り入れてゆくことの重要性を今一度考え直してみたいと思います。