カビ毒と防カビ剤

食品にでるカビのうち、毒性物質を発生するものがあります。その種類はいろいろあるようですが、『アフラトキシン』『フザリウムトキシン』『マイコトキシン』『オクラトキシン』などが知られているようです。

このうち、発がん性があるといわれるアフラトキシンというカビ毒はアスベルギルス・フラバスという熱帯系のカビによるもので、日本ではほとんど発生することはないとのこと。輸入のナッツ類に可能性がある。その他中国などから輸入される乾トウガラシなどでは、品質の上での検査項目にアフラトキシンが挙げられています。

防カビ剤は輸入かんきつ類に使用があるため、輸入の際にOPP(オルトフェニルフェノール)やTBZ(チアベンダゾール)、イマザリルなどの農薬が食品添加物として検査項目にあるようです。これはカビ毒への心配よりも、カビによる商品のロスを減らすための目的で、洗浄やワックスがけの際に同時に防カビ剤処理も行なわれます。たしかにカビ毒も怖いかもしれませんが、この防カビ剤の方がもっと怖い気がします。
穀類のうちとくに麦については本州での収穫が梅雨時にあたることもあり、湿気が原因の『赤カビ病』という病名で『フザリウム』というカビが付くことがあるそうです。フザリウムは他に米などにも付く場合もあるそうですが、農協出荷をする時検査の対象になるのはとくに麦類。赤カビ病が原因でできるカビ毒はDON(デオキシニバレノール)というそうです。この検査でDON(通称ドン)が基準以下でなければ麦の出荷はできません。この検査は輸入小麦でも行なわれます。輸入小麦の場合、栽培環境が日本とは違うことと、ポストハーベストとして農薬処理が行われているため、当然ながらDONの値は国産小麦よりも低くなります。とはいえ、その分農薬類が使用されているわけですからあたりまえですし、むしろそちらの毒性のほうが怖い気がします。

フザリウムのついた南瓜

防カビ剤を使う代わりに、放射線をあてて殺菌、殺虫をしてしまう方法もあります。輸入農産物では、放射線はあてていないという証明書がつけられる場合もあります。放射線照射については、『安全』と言い切る学者もいるようですが、その処理を行なう現場での作業員の放射線被ばく、過剰な放射線照射による食品の変質などの問題もある。それに好き好んで、放射線をあてた食品を食べたいと思う消費者などいるわけがありません。

どうしてポストハーベストとして防カビ剤や防腐剤が使われるのかといえば、海外という遠方から食品を運ぶからです。食べ物を輸入するというのは日本の食と農の文化について考えれば、当然あるべき姿とはいえません。

農産物・食品のために使われる化学物質の製造には、高エネルギーと多くの危険な副産物をともないます。わたしたちの健康ばかりでなく、自然環境をも汚染してしまう可能性がポストハーベストにもあります。

国産・地場産のものを食べる、ということの意義をあらためて考えたいと思います。