昆布について
07/01/04


寒流系の褐藻類昆布は宮城県以北の太平洋岸と北海道全域に分布しています。昆布は3から5年の多年生(一部を除いて)ですが、通常は2年目で収穫されます。昆布は天然・養殖、産地、またその中でも採れた季節、育った浜・生育の深さやそれ自体の品質により複雑に格付けされます。ですからわたしたち素人にはとても難しく奥が深く、たやすくは理解できるものではないようです。大きくは産地により昆布の種類が別れていて、品質・用途がちがっています。
真昆布:昆布の中で最高級とされる。道南噴火湾沿岸から津軽あたりまでが産地。白口浜、黒口浜、本場折、場違折などの順で格付け。よく澄んで甘味のある上品なだし。関西で好まれる。
羅臼昆布:正式にはエナガオニコンブ。黒口、赤口、シマの順で格付け。濃厚なだしが出るが多少のエグ味と黄ばみを伴うといわれる。関東で好まれる。
利尻昆布:だしは真昆布・羅臼より薄いが、澄んでいて塩気があり、上品なだしがとれる。京料理の定番だし。礼文、利尻、稚内の順で格差。
日高昆布(三石昆布):太平洋側の日高地方産。早くやわらかく煮えるため、昆布巻、佃煮、おでん種に使われるが、だし汁が青白くにごるため関西では好まれない。特上浜、上浜、中浜、並浜にランク付けされる。
長昆布(浜中昆布):根室・釧路地方産。生産量はいちばん高いが、だしに旨味がすくないため、煮昆布として使われる。沖縄では定番で、サラダや炒め物など幅広い用途。
厚葉昆布:長昆布同様の産地だが、それよりも水深のある場所で採れる。黒色で白粉を吹くが甘味が弱くエグ味も伴う。長昆布と同様、用途は昆布巻きや佃煮。
細目昆布:渡島半島松前から留萌の日本海沿岸産。寿命は1年と短い。切り口が白くねばりが強いため、おぼろやとろろ昆布に加工される。ほかに昆布巻や佃煮に。だしには向かない。
籠目昆布(ガゴメコンブ):津軽海峡沿岸から亀田半島沿岸、室蘭周辺産。強い甘味ととろろ分。松前漬などにつかわれる。フコイダンという多糖類が豊富なため、人気が出ているらしい。

以上のような順である程度昆布の格付けがされているようですが、これも用途や嗜好で昆布の産地も決まってきます。またそれぞれの格付け、等級によっても品質には大きなちがいがあるため、その点を考慮に入れて品選びをするのがよいようです。またその年により、産地により品質は大きく変わることもあります。ですからその都度、用途と予算を示して専門家に相談したほうがよいのかもしれません。

道長でも(これはまったく恥ずかしいはなしですが)今まで塩乾物の問屋で仕入れていましたが、そこの勧めで直接昆布業者を紹介していただきました。その結果『目から鱗』、今まで使っていた昆布(『かぶ千枚漬』や『千枚だいこん』用として)の品選びを間違っていたことを知りました。なんと今までは『日高』を使っていたのですが、実はベストなものは『真昆布』だったというわけです。そんなわけで年末の『かぶ千枚漬』で、途中から急遽『日高』から『真昆布』に切り替えました。なぜ今まで『真昆布』を使わなかったのかと後悔してしまうほど、だしのちがいは一目瞭然。今までとはまったく違う風味に、道長のスタッフ全員納得してしまいました。

今後は千枚漬などの漬物には『真昆布』を使用してゆきます。どうかよろしくお願いします。今回の経験で『調味料』というか食材の奥深さに、あらためて思い知らされたという気がします。

でも、もう少し前に気付きたかった・・・。