純豆みそについて


三州岡崎の八丁みそも同じですが、純豆みそは塩と大豆だけで仕込んで作ったみそのことです。その他にみそには米こうじを加えて作った麹みそ、麦こうじを加えた麦みそがあります。発酵熟成期間が長くなるほど褐色・黒色に変化していきます。

米みそや麦みそに使われる米、麦こうじには多くのデンプンが含まれていますが、豆みそにはデンプンが少なくタンパク質の多い大豆だけが使われるため、発酵による分解に時間がかかります。そのため2年近くの醸造期間が必要となります。

メイラード反応
タンパク質が褐色になる現象をメイラード反応(褐変反応)というそうです。これは微生物による作用ではなくて、タンパク質と糖が同居する場合に加熱や時間的な作用で、その二つが結合して風味が発生すること。それに合わせて褐色変化が起こります。

この反応が起こる際にそれこそ様々な物質が作られるらしいのですが、化学的には謎の部分が多く、解明されていません。とにかくその様々な物質には様々な風味があり、八丁みそなどに特有の『渋み』なども含まれます。

ご存知ですか『豆みそ(赤みそ)』の調理法
『赤みそ』でみそ汁を作る場合、煮詰めたほうがおいしい。よくみそ汁を作るとき、煮立つ一歩手前で火をとめるべし、といわれます。せっかくのみその風味が飛んでしまうからです。しかしながら、赤みそではちょっと勝手がちがいます。屋台などでみそ田楽を出す場合、そこで使われる赤みそのタレは加熱しっぱなしです。旅館や料理屋などで出されるみそ汁も赤だしと決まっています。これも食べる時間がまちまちのお客様に、冷める、加熱するを繰り返してもだいじょうぶだから。また『味噌煮込み』といえば当然使われるのは赤みそです。

長期間熟成された赤みそにはその分麹菌、酵母菌、乳酸菌などによりタンパク質やでんぷん、糖などが分解され、たくさんのうまみ成分が作られています。またメイラード反応などによっても風味に加えて渋みなどのそれに反する成分も蓄積されている。それを調理の段階で沸騰させたり加熱時間を長くすることで、メイラード反応などによるような香気成分が飛んだりする。加熱によってうまみ成分は飛びにくいため、長期熟成で蓄積されたうまみが生きてくるというということらしいのです。

この答えを導くために、八丁みその蔵元、さらには中央味噌研究所にも問合せしましたが回答を得ず。新城市・福津農園の松沢政満氏にお聞きして何とかそれらしい回答をいただくことができました。さすがは松沢さん。どうもありがとう。

愛知県武豊町カクトウ醸造にて