プラスティックについて
07/03/21

道長では漬物を封入するため、合成樹脂の袋を使っています。合成樹脂(プラスティック)といっても種類はたくさんあり、用途に応じて材質も決まっているようです。道長で使っている袋には2種類の合成樹脂、ナイロンとポリエチレンが使われています。保存性をよくするため、真空包装をして加熱殺菌をするのに適した通称でトリプルナイロンなどと呼ばれたりする素材です。

ナイロンは耐熱性が高く、引っ張りや衝撃に強い性質があるものの、水分を通しやすいという性質がある。さらに袋を密封するために熱シールしようとすると融着しにくいという欠点があります。それらの欠点をカバーするためポリエチレン(低密度)のシートをその内側に使用します。低密度ポリエチレンは伸縮性があり、水分を通しにくく、比較的低温で融着します。ちなみに『高密度ポリエチレン(PE−HD)』は伸縮性は少なく、不透明でレジ袋などに使われています。

ここでナイロンとポリエチレン、二種類のシートを貼り合わせる必要があるわけです。そのための接着剤代わりに内側のポリエチレンシートより融点の低いポリエチレンを融けた状態で付着させ、そこにポリエチレンシートを貼り付けるのだそうです。

トリプルナイロンの材質を略称で表示すると『PE/PA』ということになります。PE、PAはそれぞれポリエチレンとナイロンを表す記号です。でも厳密に言うと実際は『PE/PE/PA』となるわけです。さらにこの場合のポリエチレンは低密度ですからそれを表すためには『L−LDPE/L−LDPE/PA』という表示が正しいということだそうです。しかしながら、この場合のポリエチレンは低密度に決まっていますから、ただ『PE』と表記しているそうです。

表記の順序
明確な表記方法は決まっていないようですが、使われている材質の多い順が一般的。そして多く使用されている材料の記号に下線を示すことが多い(PE/PAのように)。

また袋の内側に使われるのは主にポリエチレンと決まっています。それは水や薬品に耐性がすぐれている。添加物が少なくても加工しやすいなどの性質があるため。

環境ホルモンの心配
プラスティックを食品に利用する場合に問題となるのが環境ホルモンです。それを含めてプラスティック素材の安全性を確認するために『溶出試験』をすることになっていて、メーカーに要求すればそのデータを開示してもらうことができます。このテストはメーカーの自主的なもので、公的に認められた機関に依頼して行っています。標準的なテストとしては、重金属類、フタル酸エステルやビスフェノールAなどの化学物質の検出、有機物による汚染についてなどが行われているようです。

溶出試験につかわれる試薬としてはノルマルへプタン、アルコール、酢酸、過マンガン酸カリウムなど。それらの定量の濃度のn−ヘプタン、アルコールなどの溶剤に規程の温度・時間浸すことでプラスティックに使われている可塑剤などの添加物や重金属などを溶出させ、溶剤を蒸発させたあとに残留する物質名と量を特定します。

過マンガン酸カリウムは再生プラスティックに含まれる有機物を検出するために使われます。過マンガン酸カリウムは有機物と反応して消費されますから、その消費量を調べることでプラスティックの汚染を調べます。再生プラスティックの使用の有無を判定できます。

溶出検査に使われる溶剤や検出濃度の許容値は、プラスティックの素材によって違いがあるようです。またメーカーの段階では、それ以前の素材メーカーでの原材料まで把握できていない場合もあるようです。またその原材料について、機密とされていたりして曖昧となってしまっている場合もあるようです。

食品用では検査による添加物の把握ができますが、そのほかの用途のプラスティックではその表示だけがたよりとなってしまいます。ここでは取り上げませんでしたが、添加物としての抗菌剤の問題もあります。

まったくプラスティックとは便利な反面、ダイオキシン、環境ホルモンなどの化学物質の心配が付きまとってしまうという厄介な素材というほかありません。

まったく必要悪というのがプラスティックにあてはまる言葉です。

表記についてはメーカーによりちがう場合があります

商品には『プラマーク』のみの表示をしている場合もあります。