砂 糖

砂糖いろいろ
砂糖といえば甘味。甘い味はなんとも魅力的です。果物の甘さ。そのほか食材のもつほのかな甘さなど。甘味は料理に欠かせない味のひとつです。

一言で砂糖といっても種類はいろいろあり、用途によっても使い分けされます。また、昨今の砂糖はいろいろな加工技術が駆使されるようになり、製造工程も変わってきているようです。

砂糖の種類でその性質などを比べてみました
まず、砂糖の主成分は蔗糖です。
■上白糖:日本ではもっとも一般的な砂糖。精製した砂糖(主成分は蔗糖)に各1%の水分と転化糖(※)ビスコを添加しています。水分はしっとり感をもたせるため。転化糖は甘味を強くするのと砂糖が固まるのを防ぐため。また実質2%の増量にもなります。

※転化糖は蔗糖を酸や酵素で果糖やブドウ糖に加水分解して作られます。特に果糖は同じ量の蔗糖よりも甘い。いずれも液状で保湿性があるため和菓子などをしっとり保つ効果もあります。ただし転化糖を作るためのαアミラーゼという酵素がありますが、その生成のために遺伝子組み換え生物(酵母)が利用される場合があります。日本での利用はないと聞きますが、米国などから輸入されるコーンシロップにその利用があるかどうかについてはわかりません。コーンシロップとはコーンスターチを原料とするブドウ糖と果糖の混合物を総称したもので、こちらは異性化糖と呼ばれる。

使用目的からすると、上白糖の転化糖は添加物的な存在です。あまり推薦できる砂糖とはいえません。なお日本以外で上白糖を常用している国はありません。

■黒砂糖:ブラウンシュガーとも呼ばれる。サトウキビのしぼり汁から石灰で不純物を取り除き、加熱濃縮し冷却し固めたもの。精製されていないため、含蜜糖に分類される。

■粗糖:黒砂糖として結晶させるとき、遠心分離である程度糖蜜を分離除去し残った結晶。黒砂糖以外の砂糖を作るための原料。赤ザラメはこのうち結晶の大きなもの。これも含蜜糖に分類。

■三温糖:原料の粗糖を湯に溶かし、精製し濃縮し結晶化して遠心分離された液糖をさらに精製・濃縮・結晶化・遠心分離を繰り返す。これを3回以上おこなってできた褐色の砂糖。褐色の成分はカラメルで、繰り返しの過熱のため。しかしながら、最近ではイオン交換膜法により精製工程が合理化されているため、上白糖にカラメルを加えただけの三温糖が主流。

■グラニュー糖:もっとも基本的な精製糖。最高純度の糖液を結晶させてできる無色透明の砂糖。上白糖のような転化糖などの添加がない。

■中双糖(キザラ):本来は三温糖と製法は同じでそれよりも大きな結晶をしたものがこれ。これも精製工程合理化のため、白ザラメにカラメルを加えている。

■氷砂糖:グラニュー糖か白ザラメを水に溶かし、50度前後の部屋で時間をかけて再結晶させてつくる。

■和三盆:四国徳島などで徳川時代に作られるようになった砂糖。原料は『竹糖』という普通の砂糖黍より細い品種。黒砂糖に相当する白下糖を水で練り細粒にしたものから糖蜜をを搾り出す。これを三度以上繰り返して作られる。

和三盆は口溶けのよさと上品な甘さがあり、そのまま型に打ち込んで作られる『打ちもの』という和菓子にも使われる。

以上はサトウキビを原料にした砂糖ですが、純国産の砂糖としてテンサイを利用した甜菜糖があります。テンサイはサトウダイコンとも呼ばれますが、ホウレンソウなどのアカザ科の植物。日本で消費される砂糖の25%がテンサイを原料としたもの。

■てんさい糖:サトウキビ原料の砂糖の粗糖にあたる。オリゴ糖なども多く含まれている。

■ビートグラニュー糖:グラニュー糖と同じ
テンサイを原料にした砂糖はすべて北海道で生産されています。国産の砂糖の75%ほどをまかなっているそうです。そして甜菜糖はすべて国産です。

●糖蜜について:砂糖の精製の結果、含蜜糖から分離し結晶できずに残った糖分を含んだ液体。廃蜜ともいう。化学調味料の原料として、または白砂糖に添加して付加価値をつけたり、加工用などに利用される。

●カラメルについて:砂糖を180℃くらいで加熱するとできる。今では糖類を化学的に処理することで製造されている。この場合、わずかに毒性をもつため、多量の摂取は好ましくない。

日本人は年間20Kg弱の砂糖を消費しているといわれます。これは米国での消費量の2/3程度です。またその消費量は横ばいから減少気味のようです。

●参考までに砂糖以外の糖類について
一般に食品工業では炭酸飲料などのソフトドリンクやフルーツ缶詰など、加熱調理しない食品に、コーンシロップを多用します(果糖は加熱すると甘味を発揮できないため)。そのほか、多くの食品にソルビトールやトレハロースなどの添加物などが使われます。これらが液状で加工がしやすく、一般に甘味度が高く、しかもコストが安いというのがその理由です。

異性化糖は炭酸飲料やドリンクなどに多用されるため、糖類の摂りすぎが問題です。体内での吸収が早いため、満腹中枢を満たしません。さらなる酸性食品(肉、糖類)の過剰摂取につながります。また炭酸飲料などを大量に摂取すると一気に血糖値が上がり糖尿病、さらには肥満の原因にもなります。

コーンスターチなど、デンプンを原料にした糖類は、砂糖に比べると製造方法はさらに化学的、工業的です。原材料の履歴を辿ることすら難しく、遺伝子組み換え作物が使われようと製造過程で遺伝子組み換え添加物が使われようと、その事実が明かされることがありません。とても安全性を優先したものとはいえません。

甘味料としての砂糖は、工業的に製造される糖類に比べれば安全性が高いといえば高い。しかし摂り過ぎはよくありません。またあえて使うとしたら、どんな砂糖を選ぶべきなのかをよく考えてみる必要があるのではないでしょうか。