遺伝子組み換え添加物




2008年2月現在、日本で承認されている遺伝子組み換え(GM)食品は農作物が7種類(88品種)、添加物が6種類(14品目)ということになっています。GM農作物については私たちにも馴染みのあるものがほとんどですが、添加物となるとなにかわけのわからない感じのものばかりです。

遺伝子組み換え添加物
現在(08年2月)承認されているのは、α−アミラーゼ、キモシン、プルラナーゼ、リパーゼ、リボフラビン、グルコアミラーゼというもの。
α−アミラーゼ
デンプンを糖に分解する酵素。ブドウ糖や果糖、オリゴ糖などやデキストリンなどの液糖、パンなどの製造に利用されます。コーンスターチからコーンシロップを作る場合にも使われる。

キモシン
レンネットなどとも呼ばれるたんぱく質分解酵素で、チーズの製造に利用される。ただし子牛の胃からしか取り出されれないため長年貴重品とされていましたが、カビの一種から生産されるようになっている。そして、GMキモシンはGM酵母が由来のようです。

プルラナーゼ
デンプンを糖化する酵素で、これもGM酵母が由来しているようです。清酒などアルコールの製造にも利用できる。

リパーゼ
脂質のエステル結合を加水分解する酵素とのことですが意味がわかりません。これもGM酵母由来のようです。乳化剤などに利用されるようです。

リボフラビン
別名ビタミンB2とも呼ばれる。黄色系の着色料として利用されます。ただし栄養強化の目的で利用される場合には物質名の表示義務はありません。枯草菌(納豆菌もその一種)由来。堆肥の発酵には欠かせないのが枯草菌だそうです。

グルコアミラーゼ
デンプンを糖化するはたらきのある酵素。GM酵母が由来。アルコールの製造に使われるようです。

いずれも現在GM酵母などを利用して、大量に製造できるようになってきているそうです。とはいえ、これらの添加物について『遺伝子組み換え』という表示の義務はありません。結果として、由来となっているGM微生物の痕跡が残らないことになっているというのがその理由です。

厚生労働省・農林水産省に聞いてみました
GM微生物由来の添加物、またはそれが使われている食品が日本に輸入されているとは思われるが、日本国内では今のところGM添加物は生産されていないとのこと。ただしその事実を確認するため、厚労省、農水省の各担当部課に問い合わせましたが、散々あちこちたらい回しにされた挙句(またさっきの課にもどされたり)、やっとのことでその回答を引き出せたというのが事実です。それほどに安全性審査をしたことはしたけれど、その後のことは知りませんという態度にはおどろいてしまいます。こんなことで危機管理は大丈夫なんでしょうか。ただし、日本でも医療の分野ではたくさんの組み換え生物を利用した医薬品が出回っているし、その技術を使った医薬品が製造されています(医療ではもうあたりまえ)。

現代でいう『発酵技術』とはもう発酵ではなくて、酵素による分解であり、製造工程によっては酵母菌の存在がなくても可能ということ。結果的に糖やアルコール、みそや漬物ができればよいという、合理性と経済性のみの追求ということです。そこには消費者には知らされない灰色な部分が多すぎる。

メーカーによる経済性や効率性だけを追求する姿勢は、本来食品の製造ではあたりまえの基本さえ二の次にしてしまうということにもなりかねません。多くの多国籍バイテク企業のなかには、安全性よりも経済性を優先しているとしか思えないものもあります。

GM農作物とのちがい
GM微生物の特徴はといえば、いうまでもなく『目に見えない』という点です。また農作物が野外で人の目に付く場所で栽培されるのに対し、GM微生物は企業の工場のような『密室』の中で応用される点が、さらにGM添加物にグレーな印象を与えています。生きたままのGM微生物が環境に放出されてしまったとしても、第三者にはわかりません。

第一種と第二種使用
GM農作物を屋外のほ場で拡散防止の措置なしで栽培する場合は、農水省・環境省の大臣の認証を受ける必要がありますが(第一種使用等)、実験室や工場のような閉鎖された施設内で使用する場合(第二種使用等)、外の環境に出ることのないような措置をとる義務がある、ということになっています。ですから当然のこと、そのための申請を関係省庁にし、審査を受け、許可を得なければなりません。

しかしながら現在のような不完全なGM表示制度の下では、実際にGM添加物が使われているかどうかはわかりません。わたしたちの『GM食品はいらない』という明確な意思表示をし続けることが、メーカーなどの消費者をあざむくような心ない行為を食い止める最低限の方法なのかもしれません。
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