特別栽培と農薬使用量


ご存知のとおり夏野菜の特に白菜は平野部での栽培は不可能です。白菜やレタス、キャベツなどは長野県の最奥部八ヶ岳や北海道などの冷涼な地域での栽培ということになります。道長では昨年まで6月〜10月の間、八ヶ岳の特別栽培の白菜を使用していました。

農薬のカウント
特別栽培というと慣行栽培レベルと比べて、農薬の使用回数が半分以下ということになっています。ただしこれは成分でのカウントなので、同じ薬剤を時期をずらせて3回使えば3カウントになります。水田などで使われる複合除草剤などのように、1回でも2成分を含めば2カウントが加算されます。

白菜の慣行栽培レベル
もちろんこれは全国統一ではありません。地域によって違います。たとえば愛知県東三河地域では夏季の白菜には慣行レベルはありません。実際夏季に特別栽培農産物として白菜の生産・販売を行おうとする農業者がいないため、その慣行レベルは定められていません。

八ヶ岳地方での夏季の白菜の慣行レベルは20カウントほどのようです。したがって特別栽培となるとその半分の10ということになる。

化学肥料の窒素分
八ヶ岳地方でのデータがないため、愛知県東三河地方での白菜(冬作)の慣行レベルで調べてみます。それによると化学肥料の窒素成分が10アール当たり33kg以内であること、ということになっています。したがって特別栽培ではその1/2までは化学肥料を使っても良いが、残りは有機の窒素を使用しなければならないということになります。

以上のことからわかりますが、夏季での高原野菜には、特別栽培といえどもけっこうたくさんの農薬が使用されることがわかります。

愛知県東三河地域での冬作白菜
道長の地元東三河地域の冬作白菜の慣行レベルは農薬34回ということになっています。

右の表は特別栽培の例ですが、それでも9種類の農薬を使います。消費者にきれいなハクサイを届けるための最低限の農薬ということでしょうか。

図中で魚毒性とありますが、これはコイと、ミジンコで一定時間後に半数が死んでしまう濃度(LC50:半数致死量)でAよりCの方が毒性が高い。さらに高いと『水質汚濁性物質』と定義付けられます。


毒性について:毒物、劇物、普通物の順に毒性が強い。測定方法は経口、経皮、吸入とあり、試験用の動物の半数致死量で判断。普通物とは劇物以下の基準ということであって、毒性がないということではありません。それにしても『普通物』とは、なんと都合の良い命名でしょう。有効成分については勉強不足で説明ができません。あしからず。

現実に安全な農薬というのはほとんどありません。特に化学物質を製造する場合、これは化学肥料を含めててですが、必ずといっていいほど副産物ができてしまう。そしてそれは環境に負荷をあたえてしまう場合が多いわけです。

道長では:今まで、夏季にも白菜の漬物『白菜漬』『和風きむち』を企画してきましたが、やはり農薬の使用量が気になっていました。今夏より、思い切ってこれらの漬物の出荷を秋までお休みにすることにしました。

どうかよろしくお願いします