トッピーとYS-11。

実は7,8年前は船が苦手で、遊覧船がやっとな程度、10年以上前、大島(東京都)に行った時なんて「おろしてくれぇぇ〜!」状態の私でした。
でもだんだんトシを重ねるにつれ、平気になってくるものですね。お蔭様でこの高速船トッピーにも少しの不安だけで乗ることが出来ました。

が、私たちが乗るちょうど1ヶ月ほど前、鯨か浮遊物にぶつかったとかで、事故があったばかりでした。
事故などは運、ですから仕方ないと思っていたのですが、とにかくGW、島へ渡る手段が(飛行機が取れなくて)コレしかなかったので、何とか屋久島まで運んで欲しい、そればかり願っていました。
鹿児島は快晴。半袖でも暑い位の気温でした。
実物は想像よりも小さかった。船内放送でしきりに「シートベルト着用」と訴えていました。



出発してしばらくは快調に飛ばし、優雅な姿の「開聞岳」を眺めながら大海原を進んでいきました。
がしかし!上空から雨も落ちて、鹿児島湾をでて、大隈海峡にでるとあのいや〜な「ザッブーン、ドッブーーン」という大きな揺れが。私にとってはマグロ漁船か?(乗ったことは無いけど)と思うほどでした。地元のおばちゃま達も「大丈夫かい?船が倒れるんじゃないのかい?」と心配して係りの人に聞いていました。

船内放送では「本日大隈海峡は若干荒れている模様です、でも運行に全く問題はありません!」と力強く言っていたので、私は酔わないように窓から空を見上げたまま、薄ら笑いを浮かべ、我慢しておりました。いや、確かに昔よりずっと、船に馴染んできたようです。
途中海面からおもいっきり跳ね上がる魚が何度も見え、「お!イルカ?クジラ?」なんて楽しんでいましたが、どうやらトビウオのようでした。

天気が悪い、というよりはこの程度はいつもなんだろうなぁ・・・と勝手に想像しながら波も少し静かになり、気がつけば船は種子島へ到着。
私たちは船に残り、島の中にロケットの姿を探していました(あるわけない)

そこからまた屋久島へと仕切りなおし。しばらく行くと、「?あれが・・・屋久島?」なんだかどんより黒い雲に上空を覆われた島が迫ってきました。海岸からすぐに高い山聳え立つ一種独特な風景、一瞬怖い感じがしました。

天気や時間帯によってだいぶ印象も違うのでしょう。私たちは最終便のうえ、遅れたので鹿児島港から約3時間かかり、18:30頃に接岸。
でも沖縄や南の島にありがちな華やかさは無く、出迎えの人たちも自然体。
ホントにシンプルな「島」、まさに大自然の息吹と、自然の偉大な怖さに満ちた「島」だと感じました。

鹿児島港は快晴。

屋久島へ到着した時はどんより。

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屋久島を経つ朝、夜から降り続いた雨は、明け方更にひどくなり、朝から雷雨、という天気になりました。
島ですから雨だけでなく、風も強く、ホテルの窓はたたきつけられる雨で外が見えませんでした。
滝と温泉

ホテルのロビー横のボードには朝一番の飛行機は「天候不良のため欠航」と書いてあるではありませんか!私たちが乗るのは3便の12:20発。予報では回復に向かっているとの事でしたが、現段階では何もわからず。とりあえず欠航したときのことを考え、身軽にするため荷物は宅配便で送ることにし、最悪のことを考え1泊分の着替えだけをザックに背負い、ホテルを後にしたのでした。

空港へ着きましたが、狭い、バスターミナルの待合室のような館内はごった返しています。私たちの乗る一本前の飛行機が、屋久島上空にいるんだけど、天候不良で降りれない、鹿児島へ引き返すかもしれません・・・ってことは・・・
とりあえず主人と「明日は会社休んでも問題ないよね」と確認し合い、お茶でもしながら待つことに。
すると約40分遅れで前便到着!拍手が沸き起こりました。その後続いて私たちの乗る便も到着!なんとか帰れそうです。

私たちの乗る便はラッキーなことにYS-11!.実は旅行が成立したときは飛行機が取れず往復トッピーだったのですが、早朝の便だったのでダメモトで個人手配でキャンセル待ちに入れておいたら、なんと乗れることに!しかもYS-11だったのでどうしても乗りたかったのです。欠航じゃなくてホント、良かった。
>>日本エアコミューター

特別航空機好きな訳ではないですが(むしろ苦手)今年の9月がラストフライトだと聞けば、やはり体験したくなるもの。

YS-11は国産唯一の民間旅客機。昭和40年に就航してから40年にわたり地方路線を中心に飛んでいたが、航空法改正により、全ての旅客機に衝突防止装置の装着が義務付けられた為、それができないYS-11型機は日本の空から姿を消すそうだ。
残念ですね。
小さい機内には手作り感の残る設備が時代を物語っている。
バタバタという感じのプロペラ音、でも機体はとても安定感があり、こんな悪天候でも不安を感じさせない。操縦士もYS-11を知り尽くしたベテランが、伝統とマニュアルで操縦できる技術に誇りを持って、愛おしむように操縦しているように思えてならなかった。

屋久島上空は悪天候の為、残念ながら島の姿を空から眺めることは出来なかったが、鹿児島へ着いたら真っ青な空^_^;たった35分のフライトでしたが、良い体験が出来ました。

その後、もともと乗り継ぎに40分しか取っていなかった私たちは離陸まであと10分!大慌てで羽田行きの飛行機に乗り換える為にダッシュ!無事に旅の全工程を終えることが出来ました。
全てにおいて、(私たちにしては)無駄の無い、最高の旅が出来たみたい。大満足の5日間でした。

余談3:羽田に到着して飛行機を降り歩いていたら、なんと!またしてもあのおばさま5人組が!!
「あらー!同じ飛行機だったの?私たちの乗った飛行機飛ばなかったかもしれなかったのよ!」「ええ、知ってますよ、私たちはその後の便でしたから見てました〜」「ええー!後の便で間に合ったの?良かったわねぇ、アハハハハーー!それじゃさよなら〜」
・・・そういうわけか・・・おばさまたちのパワーが雲をも切れさせ、飛行機を到着させたのね・・・
こんな偶然が重なるんだったら、電話番号でも聞いておけばよかったかな?一緒に旅したら楽しいのかも(かも)しれない・・・飛行機の欠航を未然に防ぎ、今回の旅をより思い出深いものにしてくれたおばさまたちに感謝するのでありました。