クルス

空・シルエット

長崎市神の島・神の島天主堂

陽ももう沈み、直接の光線がなくなっても西の空はほのかに赤く色づいている
街灯の当たらないところは色を失い、影となる
ただ、影が空と出逢うところには
余分なものをそぎとったシルエットラインだけが浮かび上がり、風景を語る
明るいうちは赤煉瓦とか白亜のペンキとかの色
あるいはロマネスクだとかゴシックだとかいう建築様式に目をとられていても
それらを失ったとき、雄弁に風景を演出するのは十字架
ただの2本の線の模様でも、クルスとしてのその存在価値は昼間以上に浮かび上がり
あらためてその存在を思い知ることになる

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