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Flarespeakerフレアスピーカー
■課題
スピーカーで再生する歌声の歪み感を減らすことに取り組む。
どんな人の肉声でも、それ故歪んでいると感じたことは無いように思える。
ところがスピーカーからでる歌声が歪みぽいと感じる。
それが疑念もはばかれるハイグレードなシステムであっても、アーチストの声質かのように錯覚に陥ることは避けたい。
それは、私のアーチストに対する礼儀心でもある。
まずはスピーカーでの分割振動が大きな要因と考えて希望を持つこととする。
ヒレによる分割振動対策         2014/8/20


     

                   
  2012/8/16 インターネット出願済み
     
  考察
耳に感じる分割振動の音として、音割れ、サ行などの刺激音、紙質音などを感じる。
普通の用紙を揺すったり引っ張る、曲げるなどすると面にしわができ、その変形動作が紙の音とも言える。
唯一しわの音が出にくい曲げ運動は、しわのない紙を湾曲に動かすと良いので次世代の振動板の有り様とも思える。

コーンに生じる分割振動も弾性限界を超えないしわの音として捉えることにする。
しわが生じやすい所は、力が出るボイスコイル周辺とも考えられるが、コーン周辺も大きな要因として注目する。
その理由は波動が伝わる末端、周端などの所では強い波が生じると思われる例がいくつかある。
まずムチ、ぬれタオル、すする麵の先っぽ、鐘、海岸、隕石による衝撃波などを想像する。

スピーカーに施せそうな軽量で実際的な対策の手がかりを模索する。
思いついたが、リンでははばかれるので茶碗の周端に緑で示す紙テープを出す様に張ってハシなどで叩いてみる。
材質特有の響きの低減は大きい。スチロールの器でもフワフワの物の上ではテープ無しとの差は大きい。
しかし内部損失やエッジによる制振が及ばない領域への効果はこれだけでは分からない。
今までにない方法として、内部損失に頼りすぎないように、音になりきれない外部損失などと言う案を考える。
小さな出っ張りのヒレが波動の伝わる末端となって発音しない空気負荷(渦)となることを期待する。
                
     紙 しわの音がする


     
      紙テープで制振
  
 

実験
まずは、写真Bのようにコーンに黄色の紙テープでヒレを形成する。
テープは張りしろ部を残してティッシュペーパーを貼ってから切る。
ハサミはシリコン系艶出し剤などで拭いておく。
ようじの先でこまめに押さえてから適当な角度(30~90゜)に起こす。
ヒレの出が大きいと、無改造の周波数特性にないピークやディップがでる。
3mmでは好ましい状況となってくる。8箇所の放射状ヒレも付ける。

テープでは見栄えが悪い。
ので、赤色のテーパーリングとした。
観測で個体差の影響が出ないように黄色テープのスピーカーBのみで おこない、剥がしてからD仕様にした。 スピーカー脱着も黄色テープ。 そのマウント部はアルミホイルの芯。 
テープは分割しないと外周に張ることができない。
その影響はインパルス再生波形の後期にでる。
インパルス突入による最初の立ち上がり波形はボイスコイル部と考えられる。
コーン中心から周囲への進行波の課程が右に現れる。
Bに比べ、切れ目が無くて良いリングヒレCは、後期1msec~3msecの振動が少ない。
これは、コーン周囲のどこで分割振動が起きても、ヒレを連鎖的にゆがませて、空気を多く扇ぐことになり、その負荷損失が制振効果を高めると考える。
また0.5msec前で無改造AよりCの方が少ないように見える。コーンを伝わる振動は横波の他、縦波も考えられ、伝播速度は定かでないが横波の2倍~10倍の速さとされる。横波と縦波が影響する所が同じ周囲であっても縦波の影響は初期に現れると考える。
更に放射状ヒレが付いたDは初期振動低下が求められる。

ヒレの強度や厚み材質は重要であり、この薄いコーンでは接着材で堅くなっても、振動の反射を高めることになり、好ましくはない。
接着は右図のように、両面テープを1㎜幅位に切って、コーンの所定位置にようじなどを使って付ける。
ようじはしっつかないように水で湿らせる。
リングヒレを所定の位置にのせて、やはりようじで軽くこまめに押さえる。
位置修正不可なので最初が肝心である。
どうしても剥がす場合は少し熱してゆっくり引っ張る。


             --- 無改造 A     ---赤リングと放射状ヒレD
■テーパーリングの設計 
数学は苦手なため、試行錯誤で正方形の対角線aと底辺bの割合を目的の直径に掛けた円を作り、半径まで切って円錐にした所、45°になっている感じであったので、対角線でいけると考えた。三角定規の30,°60,°も作ってみた所、合う感じであったので私的には良いこととする。

adは図形ソフト(花子)のメジャー機能での値
(45°以内)a÷b=定数
(45°以上)a÷d=定数
切り抜き内径=定数×テーパーリング内径
(外径ではテーパー角度により定まらない)


参考文献 正割(cec=1/cos)
スピーカー単体での観測


 
☆スピーカー寸法 57mmφ 入力 0.2W 8Ω 
☆エッジまでのコーン直径45mm リングヒレ内径43mm
 ヒレ出寸法3mm
 切り抜き寸法外径66.8mm内径60.8mmテーパー角度45°
 材料 書道半紙 t 0.05mm
☆放射状ヒレ12mm×4mm 出2mm 張りしろ部2mm
 センターキャップ用10mm
 材料 マスキングテープ t 0.05mm
     ティッシュペーパーt0.025mm
 
 インパルス再生波形     無改造 上写真 A


                  黄色テープヒレ上写真 B


                   赤リングのみ C


                   赤リングと放射状ヒレ上写真 D







■その他セッティング
コーン裏のスペースで接着作業可能で凸型ロールエッジの場合、裏面に貼る方が見た目を気にする必要がない。
裏でもヒレの出が大き過ぎる影響はでる。口径20cmフルレンジスピーカーでも8mm位が限度で、音圧周波数特性に6000Hzあるいは8000Hz以上でピークが現れてくる。6mmでも声質改善の実感を求められる。インパルス再生波形が早い減衰パターンとすることが改善のバロメーターとして一番手応えを感じる。そしてヒレのセッティングでそれに近づくことが可能と言える。試聴では、やはりボーカルが改善を認識しやすい。
周波数が高くなると、ピークとして発音されるということは、ヒレが音響負荷として空気を弾性駆動していることになる。それがヒレの振動をバネに与えるような感じで損失しにくくする原因と考える。
低音に関してはヒレの出を大きくするメリットがある。ハイカットされるウーハーでは高域のピークの影響は減ると言える。ヒレには空気の渦を含む慣性質量が働き、特に密閉型キャビネットでは吸音材無しで最低共振周波数を効率よく下げることが期待できる。
     
   
試聴
単体測定状態のままメディアセンター19を開いてボーカルを聞いて見る。
無改造では耐試聴時間は30秒とさせて頂く。
黄色テープのB仕様時は各アーチストの声質確認に1時間ほど聞き入った。
スピーカーの個性はそのままで荒さが落ち着いたダイナミックな音に変身されたように思う。
D仕様では一段と声質に安心感を伴う。
ベニヤt5.5mmの平面バッフルに付けると格段に豊かな音量となって再び数時間オーディオライフを過ごすことができた。

聞きながら想像の翼で総括すると
分割振動は開放端で渦として消化する。
その様子は太陽のフレアのように飛び出しても、戻るかのように回り込む気体運動とも見られる。
それは伝播する光、放たれないフレア
のようなイメージ。