渥美半島伊良湖の
頼もしい二代目
愛 菜 園


横地幸夫さん



 愛知県の渥美半島伊良湖といえば、風光明媚で海のレジャーには事欠かないところ。冬でも伊勢湾から三河湾を渡ってくる(四日市からさらに西の)伊吹おろしという空っ風のおかげで凍てつくことが少なく、温暖なところ。そんな三河湾を防風林の向こうにして、横地さんの農園『愛菜園』がある。

 横地さんのお父さんがこの地に初めて入植したのが1946年、戦後間もないころ。最初の入植者たちがまず最初に行なったことは、みなで集団生活をしながら農地を開拓することだった。渥美半島の先端の海辺といえば砂と瓦礫の痩せた土地。おかげで防風林の松の木も低い背丈で砂地にしがみついている。開拓民の最初の仕事はその松の木を一本づつ抜くことからはじまったとのこと。

 やっと建てた家も、屋根には木の皮を張った程度のもので隙間だらけ。寝床から星が見える、雪も舞い込むという風情であったそうだ。

 痩せた土地を肥やすため支給される肥料も、いつのまにか食料と交換されてしまうため、サツマイモも麦も出来栄えはひどいものであったとのこと。海辺に打ち上げられた海草を取って来てはたい肥作りをし、山から牛車で赤土を運んでは客土。とにかく痩せた土地を肥やすためだけに多くの時間が費やされたわけで、その間の家族の食生活のたいへんさが伺えてしまう。そんな状態を一変してくれたのが、自ら掘った井戸と豊川用水の完成であったそうだ。

 横地幸夫さん(ニ代目です)が小学校のころ(今から35年くらい前)には、トウモロコシやスイカの栽培で生活ができていたとのこと。そして、メロン、セロリの栽培へと・・。

 横地さんのところでは施設での耕作があるため、とにかく土作りということに非常な重点が置かれている。現在はたい肥は自作ではないけれど、購入したそれはとにかくさらに熟成をさせてから畑に施すという念のいれよう。だから近所のよその畑とは比べものにならないほど土が柔らかく肥えている。また微生物資材もたっぷりと利用している。

 食べてみれば即納得できるのだけれど、特にセロリ。横地さんのセロリはとにかくおいしい。そのエグ味のなさと甘味で、セロリの苦手な人でも「こんなにおいしいの」とおどろいてしまうほど。

 現在、2.5haの耕地に冬は露地とハウスのセロリ、夏はトウモロコシとメロンがメインとなっている。セロリ作りはここ渥美半島では生産者は希少ではあるけれど、横地さんの力の入れようはちょっと違う。出荷用のセロリの箱にこんな言葉が記されている。『日本一おいしいセロリづくりをめざして』、なんとたくましくもすばらしい心意気ではありませんか。

 横地さんのモットーは、よりおいしく、からだのためによいもの作り。そして、国産の本物!!

 現在すでに、彼の息子伸幸さんも3代目としてがんばっています。

お問い合わせ:
愛菜園 横地幸夫
〒441−3165
愛知県田原市西山町穂波12
TEL:0531−35−6426
Eメール:aisi.ykc@vesta.ocn.ne.jp
http://aisaien.dosugoi.net/


セロリの出荷