旅の三日目。とても気に入った【黒川温泉】を後にする。
ここからも【九州横断バス】を利用して由布院へ。黒川10:57⇒由布院12:25着

昨日九重山帰りのタクシーの運転手さんに、「山がお好きなら由布岳もいいよ。登山口から1時間ぐらいで登れるから」
という一言で、昨晩のうちにすっかりその気になったが、手元に地図も情報も何もない(こういう時ネットがあると便利なんですが)ので、とりあえず由布院に行ってから情報を収集しよう、と言うことになった。
山服を着込みホテルを出る。

この時点では由布岳は登るものじゃなく、眺めるものだと思っていました。


土曜日と言うこともあってか乗ったバスは由布院近くなると渋滞にハマった。
気持ちは焦るがしかたない。

だいぶ遅れてバス停に到着。バスを降り、駅まで7,8分歩く。
黒塗りの駅舎は由布院らしい風情がある。

1.ゆふいん駅舎 黒塗りのモダン。


コインロッカーを探すがもうお昼も廻っているのでどこも一杯。駅前に「観光案内&手荷物預かり」があったので入ってみる。
荷物を預ってもらいがてら由布岳に関するものを探すと、ありました!
しかし・・・その簡易登山地図をよ〜く見ると、山頂まで約2時間、下り1.5時間となってるではありませんか!ってことは今から行けば戻り時間が早くて17:00・・・・

「話が違うよ・・・どうする?」「とりあえず行ってみる。」
ということで案内所の方に行き方を習い、亀の井バス停へ。
するとちょうどバスが停まっていて、由布岳登山口へ行くとの事で慌てて飛び乗った。



バスは3人しか乗っていなくて、のどかに山に向かって走っていく。
だいたいこのバス、1時間に1本くらいしかないのに帰り、どうするんだ?
と不安になりながらも15分ほどでバスは登山口へ到着。

まずは帰りのバス時間をチェック。17:14なら間に合いそうだ。
(駅前荷物預かりが18:00で閉館なのだった)
携帯のアンテナも立つので、いざという時はタクシーを呼ぼう、と決め、出発。

ただ、由布岳登山口バス停に着いた時点ですでに13:30を過ぎているので、登山口にあった案内板を見て、
由布岳の手前の山【飯盛ガ城】まで登って戻るくらいしか無理だな、
と思い景色を楽しみながらゆっくり歩き出す私。
運転手さんの言ってた「1時間で・・・」はどうも手前の飯盛ガ城のことだったらしい・・・



1.由布岳バス停の真正面にあった看板。写真では知っていた。
2.左が由布岳、右が鶴見岳のコース地図。でも鶴見岳は遠い。



3.正面登山口、大平原の中を気持ちよく進む。左の小さな山が【飯盛ガ城】
由布岳に向かって歩くにつれ、ほれぼれ見上げてしまう美しさ。ホントに素晴らしい眺めです!【豊後富士】と言われるだけのことはありますね、キレイな円錐が裾から天に向かっています。

正面登山口から歩き始めます。登山口ゲートまで約15分。
そこからマタエまで1時間、マタエから山頂まで約30分、というコースタイム。
あれれ?【飯盛ガ城】を目指すつもりが??ダンナの足取りがミョーに早い。

ハアハア言いながら着いて行き、40分ほどで【合野越】到着。
ここが山頂か?飯盛が城か、の分岐。

「もしかして・・・山頂目指す気?」「もちろん」嫌な予感的中です。時間的に無理でしょ〜!

でもここで私が足手まといで、迷惑かけるのもイヤだった。
登山道は一本道で地図がなくても迷うこともなさそうだし、小学生でも登るらしい。
「・・・・一人で行ってきて」
とても私のスピードでは辿り着けないので、ここで初めての別行動を試みることに。
「帰りのバス時間までに戻れそうもなかったら途中で下山すること」
そして「私は無理だから写真を撮ってきて。」を条件にカメラを手渡し別行動。
そうと決まったらダンナはがっしがっし登っていき、あっという間に見えなくなった。冷たいヤツだ。

たったこれだけのことなのに、初めての一人歩きは正直不安。
途中下山してくる団体さん2組くらいに「・・・お一人・・ですか?」
と声をかけられた。

「先に上がっていったのが連れです〜」と答えると安心した様子だった。
あまりの軽装と(折りたたみザックに水一本、食料はお菓子のみ)やはり不安な様子が滲み出ていたのでしょうか?
お騒がせしましたー。


九十九折の登山道、普通の人なら「景色がいいね〜」と言うところでしょうが、
高所恐怖症の私はざらざら滑る登りと、ところどころ見え隠れする下を見るだけで汗、です。
こうして写真を見るとなんで?と思うのですが、一人と言うだけで不安なんですかねぇ・・
情けないです。。


【マタエ分岐】までは頑張ろう、と思っていたのですが、ここから上を見ると山頂はとがった岩。
下から見上げたときは、あんなに穏やかそうに見えたのに・・・
足元は段々ガレてきて滑るし、時間的にも私にゃ絶対無理!と諦めです。Uターン。
小学生でも登れると言うのに・・・ああ、いつになったら高所恐怖症を克服できるのでしょう・・・

諦めてとぼとぼと下山します。
バス停で待つのも悲しいし・・・樹林帯は寒々しいし・・・そうだ、さっきの広い岩場がいい!と、
【合野越】で日向ぼっこしながら、ダンナの下山を待つことにしました。






4.九十九折の登山道から見下ろす絶景。ススキが秋の風情。
5.真ん中の凹んだあたりが【マタエ分岐】私には双耳峰が垂直にそびえ立つ(様に見える)。


<<ここからはダンナに預けたカメラが撮ってきてくれた画像です。>>
6.【マタエ分岐】西峰・東峰への矢印。7.東峰まであとひと息のところ。8.東峰にあった羅針盤(?)

9.東峰山頂。素晴らしい眺めだったらしい。10.東峰山頂から西峰を望む。西峰山頂に人が見える。
11.来た道を見下ろす。左下が由布岳バス停(駐車場)右の小高い山が【飯盛ガ城】
【合野越】には3,4組の登山客が休んでいたのですが、みんなすぐに行ってしまう。一人でポツンと岩に腰掛けている私はかなり怪しい・・・
だいぶ日も落ち、日影が増えて身体が冷えかかった頃、なんと予想より早く戻ってきた。2時間半で往復してきたようで、さすが男の人ですね。

東峰へ行ってきたそうで、西峰は時間的に無理なのと、ちょっと上級者向け?焦っていてはかなり怖そうだったそうです。
「私にも行けたかな?」と未練がましく聞いてみると、「お前にゃ無理だったよ」とあっさり言われ、安心しました^_^;(でも小学生でも登れます)
しかし、無事に戻って来て良かった!時間も間に合ったしホッとした瞬間でした。




あとはのんびりバス停まで、夕日に輝く秋の草原を楽しみながら降りていきます。
途中、鹿に遭遇するも、目と目が合った瞬間あっという間に逃げられて写真は撮れなかった。

登山口ゲートを出ると、あとはもうお散歩。
黄金色に輝く草が、そよそよと風に揺れる様が美しくて去りがたい。
後ろを振り返れば由布岳にもオレンジ色に染まっていた。
いい山歩きをさせてもらった、由布岳って見ても歩いても素敵な山なんだな〜と思った。

17:00前には到着し、トイレを済ませ余裕でバスを待つのですが・・・
・・・バスが来ない。
そういえば行きも渋滞したよねぇ・・・
気持ちがだんだん焦ってきました・・

何を焦っているかと言うと、駅前の荷物預かりが18:00で閉まってしまうこと。
荷物を受け取れないと、着替えも何もない・・・
汗まみれのまま、明日まで持ち越し・・・
ま、宿に行けば浴衣があるだろうけどなーーーー。タクシー呼んでも来るまでに時間かかりそうだし・・・

とドキドキしてたら17:35、やっとバスが来た。
辺りはもう真っ暗。駐車場にも1台の車もいなくなりました。

11.飯盛ガ城に沈む夕日。12.どっしりとした山容は何度見ても美しい。

13.狭霧台展望所あたりから見る由布の町並み。車窓より、ピンボケ。
バスに乗っても安心は出来なかった。
朝霧の美しいという【狭霧台】を抜けた辺りから渋滞に・・・
う、間に合わないかも・・(ノД`)

ジリジリしながらあと10分で18:00というところで運転手さんに、
「次ぎ降ります!」と声をかけると
「駅までまだずいぶんありますよ、歩くんですか?」
「18:00までに駅に行かなきゃならないんで走ります」
「・・・この渋滞はもう終わりますよ、乗っていたほうがいい」

とアドバイスをもらい、そのまま乗っていたら・・・
なんと!17:58駅に到着!
運転手さんにお礼を言って、ダッシュ!
滑り込みで荷物預かり所へ。私達の荷物だけ残っていました。アハハ。



こうして突然の由布岳登山も無事?終え、ホテルへ。
相変わらずの珍道中振りを発揮しましたね〜!ハラハラドキドキも終わってみれば楽しいもの。

今日のホテルは「柚富の郷 彩岳館
こじんまりしているがウッディな感じが落ち着く宿。
駅からは遠いのでタクシーで行きます。遅れることを電話していなくて、宿では既に忙しい食事の時間。でも親切に対応して頂き、よかったです。
特に、食事が朝晩共にとてもよかったです♪

さすが由布院、競争原理が働くせいか?黒川温泉より(値段の割りに)食事内容のレベルが高かったです。

おいしいお食事と温泉で一日の疲れを取り、静かな宿で眠りにつく。

14.ロビーからすぐのレストラン。朝晩食事はココで。15.品数は多くはないが一つ一つ手の込んだお料理は味よし見た目よしで素晴らしい。16.メインはお肉。あれ?なに牛だっけ?17.朝食もGOOD!無駄なものがなく全てがおいしい。


++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


18.長い階段の先に、温泉がある。
19.朝靄に浮かび上がる由布岳



20.湯気の中から見上げる由布岳。
21。湯上りお休み処。
翌朝、まだ日が完全に登らないうちに目が覚めた。


昨晩は日が落ちてから宿に到着したので、どんな位置関係に入るのかわからなかった。
朝風呂に行こうと部屋を出て、外を見ると・・・【由布岳】が朝靄の中にぼんやり浮かび上がっていた。
こんな近くに見えていたのね・・・

温泉に入っても由布岳が見える。(ただし、湯船に入ったままでは見えない)
慌てて部屋までカメラを撮りに戻る。この宿は高台にあるので、由布の町が朝霧に煙っているのが見えて、とても幻想的だった。

朝霧で有名だ、というのは知っていたが、見えるのは毎日ではなく、
秋から冬にかけて、ある条件が重なると盆地に朝霧が立ち込めるらしい・・・
今日は絶好の朝霧日和だったらしいが、寝坊のダンナを揺さぶり起こしている間に消えていった・・・
ま、町まで降りなくても見えたからいっか、私は^_^;




23.何か欲しいのかな?しましまニャンコ。24.人ごみの中、見上げると秋の風情
25.日向ぼっこの猫。26【金鱗湖】の鳥。鴨じゃない、デカイ!

22.お昼頃はすれ違うのもやっとなほどの人通り。
さて今日はやっと由布院観光だ。宿の送迎で駅まで行き、またロッカーに荷物を預ける。.

さっそくメインストリートを歩いてみる。駅から10分ほどで【湯の坪街道】【由布見通り】この2差路の真ん中に,
有名なPロール(ロールケーキ)の店【B-speak】がある。たぶん整理券をもらう為に並んでいたのだと思うが、すでに長蛇の列。
食べては見たいが並んでまで・・派の私達は素通りし、とりあえず【金鱗湖】まで行ってみようと歩きます。

通りは食べ物屋さんとお土産屋さんが主かな?軽井沢に似てるかな?と思いました。


どうも近頃、旅に街を求めない私達、お土産だけはしっかり購入し、人ごみを避けるように裏通りへ。




あんなに賑やかだったのに、1本路地に入ればすれ違う人もいない。
一見、そこが温泉とはわからない様な共同温泉もあり、ああ、そうだここは湯の町、由布院なんだね、と華やかな表通りとは違う、素顔の由布院を見せてもらった気がした。


27.【金鱗湖】28.裏通りに合った共同温泉。

29.観光客で溢れるも空には由布岳。30.ゆふいん自然歩道
裏通りには小さなギャラリーや骨董品を扱うお店などがあり、静かな秋の日を楽しめそうな良い雰囲気だった。

通りに出たら、川向こうは人が一杯。
だけどちょっとあるけばそこにはのどかな田園風景が広がり、
自然を壊さぬまま、新しいものを取り入れていこうとした村の若者達の努力の結果が、この町の姿なのかな?
予想より観光地化されすぎてないな、と思った。
(朝ドラは見ていないので、由布院の知識がありませんでした)

でもやっぱりどこから見ても【由布岳】が見え、自然が残った静かな由布院のほうが、今の私の気分にはあってるようだ。
ばねに〜アイデアの勝利
1975年(昭和50年)4月に試練が訪れた。
※1975年(昭和50年)4月に試練が訪れた。地震が由布院を急襲、被害は大きく、由布院内のみならず九州横断道をはじめとした主要道路も壊滅的な打撃を受けた。「由布院は壊滅した」とのうわさが駆け巡った。
ここで「湯布院は健在だ」と全国にPRするため、観光協会では辻馬車の運行を決める。震災の翌月には対馬に辻馬車の馬を買い付けに行き、7月には運行開始。田園風景ともマッチし、辻馬車は大評判をとり、いつしか復興を遂げた、と教えてもらいました。

そして駅まで戻り、次の目的地【別府】へ移動するためまた【亀の井バス】へ。

いい町でした、由布院。やっぱり全国から人が訪れるだけの魅力が満載の場所ですね。




阿蘇山へ 黒川温泉へ  九重山へ 別府へ

TOPへ