CPA合格体験記 正しい渡航準備と現地での過ごし方

 受験地は国外で、しかも各自の試験会場がそれぞれ異なるため、普通の資格試験などと比べると相当綿密な計画、準備が必要になる。まずは日程から考えると、何日前に現地入りするかだが、私の経験では二日前がベストだと思う。メインランドやハワイの場合、時差ボケうんぬんで早めに行くほうがよいなどとよく言われるが、一週間で時差ボケなど完全に治るのか? と私は思っています。早く行けば行くだけ疲れが溜まり、緊張が高まるだけのように思えるのだが。二日前の明るいうちくらいに現地入りし、試験会場を確認、必要ならアシとメシの手配を済ませ(何分もかけて宿から試験会場まで歩くなど、正しい受験生の姿であるとは思えない)、試験前日は心身の休息、十分なリラックスに努められるとよいと思う。勉強など決してしてはならない。少なくとも当てにしていてはいけない。もちろん、グァムなら前日で十分(とは思うが、飛行機というのはけっこう飛ばないことがあるので、一日余裕を見るというのもこれは正解)。

 現地での追い込みはどうするんだ! などと思われるかもしれないが、現地で勉強なんかできますか? というよりも、試験の準備、すなわち勉強などは日本でしておくべきことであり、現地ですべきことは、試験で全力を出し切ることと、全力を出し切れるように準備することではないですか? 一日目の試験が終わった後、ブッ倒れて二日目を受験できなかった人を知ってます。何のために遠いアメリカまで行ったのだか。

 よって現地での勉強などはあてにしない。もし早くから現地入りし、ホテルに篭ってみると、毎晩隣の部屋で宴会が開かれ、目の前に24時間車が走り続けるハイウェイがあり、周囲ではロクなものも食べられず、治安が心配で夜も眠れないなんてところだったら、いったいどうします? いつもの慣れた日本の自宅や図書館などで勉強するほうがよくないですか?
 一日余計に休暇が取れれば、その分自宅で勉強するのが正解。常に時間対成果の期待値がより高い選択肢を採るべきである。現地のほうがより効率的に勉強できる可能性はきわめて低いと思う。もし現地での勉強を当てにしていて、それがたとえばトラブルでできなかった(テキストを入れたカバンが盗難とか)場合、自分で自分に余計なプレッシャーをかけてしまい、実力を出し切る妨げともなる。まったく愚か。勉強は日本で済ませ、現地では、試験で全力を出し切れるように心身を調整すること。アウェーでの戦いなのだ。何が起こっても不思議じゃない。日本でできることはすべて日本でしておくこと。現地ですべきことは現地でしかできないことだけだ。勉強は、日本でできる準備である。

 友人で、大学受験のため上京した際、鞄を置き引きされ、すべてをパーにした男がいる。同じことが起こらないと言いきれますか? あなたの住んでいるところと受験地、どちらのほうが治安はいいだろう。どちらのほうがより慣れているだろうか。もし、早々と現地入りして貴重品を失ったりでもしたら? ハワイは治安が悪いですよ(あまりに多くの日本人が行くため、割合では少なく見えるだけです)。もっとも、私は全国でもっともひったくりの多い大阪に住んでましたので、悪口は言えません(笑)。可能な限り長く日本にいるのが、リスクが少なく得策である。

 テキストなどは邪魔なだけなので持っていかない。二日前現地着の日程なら、四泊くらいでも済むはず。その程度の旅行なら(受験地にもよるが)バカでかいスーツケースなどは要らず、機内持ち込みサイズでもO.K.だろう。テキストなどを入れてしまうと、グァムやハワイに行くだけでも巨大なスーツケースが必要になってしまう。できれば機内に持ち込めるサイズの荷物にしておきたい。荷物も身軽なほうがいいに決まっている。大事な試験に行くのだからトラブルは避けたい。チェックイン時に機内預けにした荷物は、常にロストバゲッジの可能性があるということを忘れてはならない。それにカルーセルの前で自分の荷物が出てくるのを待つのもわずらわしいし、次々に現れるトランクをボケーっと眺めている自分の姿は、あまり他人に見られたくないような気もする(ナルシスト)。要らないものは持っていかない。女性にはちょっと難しいですね。
 ただし、その場合でもくれぐれも受験票などの重要品を機内預けにしたりしないように。機内預けにしたトランクは常になくなる可能性がある。もし乗り継ぎがあるならなおさらだ。

 早く現地入りしすぎると、結局それだけ滞在が長くなり、荷物の量と滞在費用と疲れが増すことになる。逆に現地に居る日数を減らせば、荷物と疲労も減り、同じ予算でもより高いホテルに泊まれる。ホテルの質は譲れない。可能な限り好条件のホテルをブッキングすべきである。ホテルは絶対妥協してはならない。

 飛行機は、常に欠航とディレイの可能性がある移動手段なので、可能ならば念のために一日、余裕を見ておく。メインランドで受験される方が、乗り継ぎが何回もある、あるいはハブ空港から目的地へ乗り継ぐ便が少ないといった場合に、二日前よりももっと早く現地入りする日程を組まれるのは、完全に正しい。しかしグァムやハワイのように一日に何本も直行便が飛ぶような場所で受験するのに、何日も余裕を見ておく必要はない。二日前で十分である。

 機内でも十分に休息を取ることを心がけ、スッちゃんの気を引こうなどという邪念がある場合(グァム便では無理です。フライト時間が短すぎる)以外、サブノートなど開いてはならない。照明も暗いしただ疲れるだけ。しかも、機内での勉強をあてにしていたりすると、もし機内で十分に勉強できないと自分で余計なプレッシャーをかけることになる。そんな不確実なものを計算に入れないように。自宅を出発してからは、試験で全力を出し切るために、すべての努力を休息とリラックスに注ぐこと。

 台風大雪などで、空港に辿り着けない可能性がある場合は、前日から空港近くのホテルに泊まっておくくらいの準備は要るかもしれない。私は大阪に住んでいたが、関西空港の場合、飛行機は飛んでいるのに、空港連絡橋が不通で結局搭乗できないということがある(実際、台風のときに両親がそれを体験しました)ので、天気予報がヤバければあらかじめ早めに空港島に渡っておいたほうがいい。私も、両親がそれを体験してからは、念のため、ホテル日航関西空港(空港島内)に出発前日の晩の宿泊予約を入れるようにしていた(もっとも、本当に前日の晩から泊まらなければならなかったことは、今のところまだない)。

 持参品としては、ウィダーインゼリータイプとカロリーメイトタイプの補助栄養食品を用意されていかれると、食事が摂れない場合や試験当日など役立つと思われる。また、ミネラルウォーターも(ペットボトルだけ)日本から持参されるといいかもしれない。アメリカのペットボトルはサイズが大きすぎたり、蓋がちゃんと閉まらなかったりしがちである。ドリンクを持ち込むのもいいアイデアかもしれない。

 服装は、外人は暑がりであるということを頭に入れて準備する必要がある。アラスカで受験した際、こちらはジャンパーを羽織っているのに、プロクターはポロシャツ姿! ハワイでは、現地が天候不順のため、地元の人は長袖やサマーセーターを着てきていたのに、日本人はほとんどがTシャツ姿で、地元の人に対応させた冷房に震えていたということもあった(ハワイにセーターを持参した自分の判断力に我ながら感謝しました) 。ハワイやグァムなど南国で受験される場合も、サマージャケットやブルゾンなどは必要である(リゾートを十分に楽しむためにもあるといいかもしれません)。サンダルは厳禁。北国で受験される場合には、覚悟して準備されていることと思います。

 受験票が届かないというのはよくあることで、私もあった。州によってはハガキでアプリケーションを受理したことを通知してもらえるので、利用するのもいいかもしれない。返信用ハガキに¢50切手を貼っておけば返送してもらえる。ただ、国際返信切手なるものではまず無理だろう。いちいち郵便局に出向いて、アメリカ合衆国の切手と取りかえるなどという、面倒な事務手続きを行う意志も暇も彼らにはあるまい。というか、そういうものの存在を知っているかどうかすら疑わしい。あいまいな記憶なのだが、国際返信切手というのは、その国の最も小さい海外郵便用の切手との交換が可能、というものだったような気がする(あくまで記憶です)。もしそうだとすれば、アメリカ合衆国からはカナダ・メキシコ向け料金が最も小さいため、日本には絶対に届かないことになる。CPAに限ったことではないが、切手くらいあらかじめ買っておけばいい。機会があれば必ず買っておく。

 テキストを持っていくのは荷物になるだけで勧められないのだが、必要なことだけをまとめたサブノートやカードなら、現地に持っていけば役立つと思う。ただし、本当に必要なことだけである。試験前の20分間で見渡せる程度の分量までのものである。カードの場合、少なくともB6サイズの大きさがなければまとまった内容を書きこめず、使いにくいだろう。同じ内容が複数のカードにまたがっていると見にくく合理的ではない。私は最終的に四科目合わせて六十枚くらいだけ、作った。

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