CPA合格体験記 試験会場での正しい振る舞い

 いよいよ試験当日。前日の晩、緊張で眠れなかった、などということは絶対避けたい。ましてや賢明な皆さんなら、まさか前日勉強してしまったために眠れなかった、などということはないと信じる。緊張で眠れなくとも、体だけでも休めておきたい。
 ただ、六時間くらいも眠れていれば、十分大丈夫。もし日頃八時間眠らなければいけないという方でも、昨日は眠れなかったからダメだ、などと決して思ってはならない。余計なプレッシャーをかける必要はない。眠れるかどうか心配な方は、スリーピングエイドやメラトーニンをGetしておけばよい。NoDozというカフェイン系の眠気覚ましもあるらしいです。いずれもスーパーやドラッグストアで普通に売られており、別に怪しいものではない。
 また、食事はきちんと摂ることをお勧めする。いまから思い起こすと、合格した時(三科目合格した98年5月と最後の一科目を取った99年5月)は、いずれも前日の晩はステーキ(大の肉食です。魚とかキライ)を食べた。偶然かもしれないが、前日に夕食をきちんと摂らなかったときは、不合格に終わっている。
 なおメラトーニンの摂取や日光を浴びることと同様、食事をきっちり摂ることも時差ボケを治すために効果的ということだ。

 席に着いたら、まずは机と空調の具合をチェックする。冷房が直撃するなど不都合があれば、遠慮なくプロクターに申し出ればよい。友人で、「隣の席の人のビンボーゆすりがひどい」と訴え、席を換えてもらった人もいる。精神状態は合否に大きく影響する。
 なお、記憶している限りでは(覚えていない最初の受験地アラスカ州ケチカン会場以外はすべて)、テーブルはすべて白い布が張られていた。布張りなので書きにくいかもしれない。州、会場によってはテーブルが穴だらけの場合などあらかじめ下敷きが用意される場合もあると考えられるが、自分で下敷きその他を持ち込める州はないと思われる。計算用紙に使いたいからと白紙の紙の持込をプロクターに申し出ていた人を目撃したことがあるが、却下されていた。他の受験者と公正な条件にならないから、が理由のようだった。

 州によって試験会場内に持ち込めるブツにかなり違いがある。私の場合はウィダーインゼリー、ミネラルウォーター、筆記用具としてシャーペン二本、シャーペンのようにノックするタイプの消しゴムといったところ。シャーペンはエッセー用に使い慣れた0.5mm芯のものと、マークシート用の0.9mm芯(製図用)のものとを用意する(大学受験のときからずっとそうしている)。鉛筆は芯が折れたり削ったりと面倒だし、何より転がるのが困る。落としてしまわないかと気になってしょうがない。シャープペンシルは転がらない。
 AICPA指定のNo.2 pencilは、おそらく日本でいうところのHBないしBくらいの濃さである。好みで選べばいいだろう。
 消しゴムもシャーペンタイプを使う。ふつうの四角い消しゴムは、鉛筆以上に遠くに転がっていきやすい! もちろん、常に先が細いため、マークシートの細かい部分も消しやすい。
 目薬や耳栓も用意される方もおられるかもしれない。持ち込めるのであれば、お菓子でも栄養ドリンクでも持ち込んだほうがよい。でないと体がもたない。
 それから、予備の時計も忘れないこと。まさかと思っていたが、ケチカンで時計の電池が切れたことがある。そのときも予備を持っていたので、実害はなかったが、勝手知らぬ異国の地で時計の電池を買いに行くなど、試験前の慌しい気分のときにしたくはない。出発時に空港の免税店でスウォッチでも買っておいてもいい。安いものだ。オートマチックなら電池が切れる心配もない。
 州によって持ち込めるものは本当に異なり、例えばカリフォルニア州ではIDカード以外には何も持ち込めない。シャープペンシルと消しゴムは貸し出される。貴重品も無造作に部屋の外に置いておかなければならないそうだ。
 貴重品はともかく、試験中に水分やエネルギーの補給ができるか否かといった各州ごとの試験会場の条件は、スコアに影響するのではないかと思う。

 会場責任者の合図で試験が始まる(英語が聞き取れなければとにかく周りの様子を窺う)。エッセーから書いていく。エッセーがある程度納得いくまで書ければ、OOAFに移る。それも終わればMCに取りかかる。
 消費した試験時間に見合う成果が合理的に期待できるのは、まずはエッセーであり、次いでOOAFである。難問MC一問に時間を浪費し、取れるはずの問題が解けなかった、というのは愚かしい。ましてMCは一問あたりの配点も低く、しかも採点されないダミーまで含まれている。費やした時間に見合う成果を得られる期待値はもっとも低いといえよう。当然、後回しにしなければならない。
 LPRならMCに残り1〜1.5時間といったところだろうか。私は英語力に劣り、英文を書くスピードがどうしても遅いため、LPRはいつもMCに一時間弱しか残せなかった。
 解けるMCを確実に取るために、難し目のものはとりあえず無視して気合で適当にマークし、どんどん先に進む習慣をつけておき、一問に時間を使い過ぎないようにする。適当にマークしておくのは、マークしなかったために、次の問題の答えをそこにマークしてしまい、マークが一列づつズレてしまうミスを防ぐためである。時間がなくて結局戻ってこれなくとも、何かをマークしておけば、ラッキーがあるかもしれない。
 いずれにせよ、MCは一番後回し。少々落としても痛くない。今悩んでいる問題もダミーかもしれない。AUDもエッセーから書いていくし、AREもFAREも後ろから順にやっていけばいい。ただ私の場合、AREは頭を切り替えるため、まずTAXをやって、管理会計をやって、最後に大嫌いな公会計を、という感じに分野ごとにまとめて解いた。(AREの時間配分は99年5月受験日記に)

 試験中、疲れてきたら、席を立って会場の後ろのほうでストレッチでもして、気分をリフレッシュしたり、会場の外へ出て新鮮な空気を吸ってみたりするのも効果がある。緊張しすぎたり、まったく予想外の問題が出題されて頭に血が上ったりしたら、一度試してみよう。
 エッセーがもしどうしようもなければ、50点狙いと割り切ってマークシートを解いて、あまった時間に休憩するか、さっさと提出して次の科目を勉強するかでもしたほうがいいのかもしれない。エッセー書かないと、絶対に合格しません。この科目は早めに終わらせ、体力を温存する、というストラテジーもあり得るかも。
 が、合否まで自分で判断する必要はない。科目合格制度(と足切り点)もあるので、自分のできる範囲で実力を出し切ること。終了後、友人と答え合わせなど絶対せず、済んだ科目のことは忘れること。提出した解答用紙は戻ってこない。(ただし、何が出題されたかは、念のため必ず覚えているうちにメモしておく。記憶があるうちに記録、だ)

 実力を出し切ることが何より大切。初めての受験の際、挙動不審とでも見られたのか(心当たりはある(笑))、AUDは一人だけ会場の後ろの席に隔離されて受験するハメになったことがある。実際には、二日目は元通りの席で、結局何ごともなかったのだが、試験終了後、呼び出されるのだろうかなどと気が気でしょうがなく、平常心で受験どころではなかったことを覚えている。
 そのときの受験では、先にも書いたとおり、FAREのエッセーをすべて捨ててしまった。FAREは友人の一人などもエッセーがあることに気が付かなかった(いわく「エッセーなんかどこにもなかった」と言い張った)くらいである。そんなわけないって。試験会場で実際にどれだけのプレッシャーがかかるのかが伝わることと思います。(その友人も最終的には合格しました。念のため)
 リラックスし、体調を整え、いいコンディションを作り出し、平常心で受験できるよう準備し、振る舞うことがいかに大切か。結局はそれが合格の一番の決め手だった。二番手がエッセーです。

 力任せの勉強、力任せの準備はもうやめて、常に正しい振る舞いを心がけましょう。

ひとりごと
 僕は、第一志望だった大学の入試当日に風邪を引いてしまい、すべてを棒に振ってしまったことがあります(大阪人にとって東京は寒い)。悔しくて、泣いた。勉強より準備にうるさいのは、その苦い記憶があるからなのでしょう。

勉強と試験の軌跡失敗の理由正しい渡航準備|正しい振る舞い|最後に要点のまとめ質問と答え


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