2019/01/05

 
No.612

初 夢

 初夢をみた。そんなの、近年みたことがなかった。けっこうリアルな夢だった。

 夢の中で、ぼくの自宅はなぜか今住んでいる場所ではなく、たぶん豊川(川の名前)の堤防沿いのどこか。つい今しがた、ぼくは自宅から出て、ちょっと歩いて離れただけのはずだった。さて家にもどろうと思うのだけれど、なんとなく変な感じ。たしかこの辺に家があるはずなのに…。今来た道を引き返すも、ぼくの家がない。また引き返す。そしてまた。ますます家が見つからない。こんなおかしなことがあるんだろうか。

 そのうち、ちょっと風景がちがうのに気がついた。ここは家の近所とちょっとちがう。たしかに、ここも川の堤防沿いのようではある。堤防のうえまで上ってみる。いつも見慣れているより川幅がせまいし、これはたぶん違うどこかよその川?

 家からいくらも離れていないはずなのに、一体全体、ぼくは今どこにいるのだろう?不安がつのる。通りすがりの、たぶんこの近所のひとに「ここはどこ」と聞いてみようかしら。…と思うのだけれど、よく考えてみれば、仮にそれがわかったとしても、ぼくは一体どこへ帰ればいいのかもわからない。もう、自分の家が二階家だったかどうだったか、どんな造作の家なのかも忘れてしまっている。

 困った。どうすればいいのかしら。ここは行き交う人に助けを請うべきか。なぜか言葉が出てこない。ぽつんと困り果てる自分が、ただ、道に立ちすくんでいるのだった。さらには、現在ここにいる自分は認識できるものの、ぼくは誰なのか。それさえも定かではなくなっているのだった。

 というところで、目覚まし代わりにしている寝床のテレビのスイッチが入ったとみえ、それに連れてぼくは目覚めたのだった。刹那、今のは夢だったのだと得心するも、なんとも複雑な気持ち。

 これが、2019年正月二日に見たぼくの初夢。

 夢の中のぼくは、アルツハイマー症か痴呆症にでもなってしまったのだろうか。医療にくわしい、かかりつけの治療院氏に尋ねてみたら、そういう場合は『どこ』とか『だれ』とかも意識から薄れてしまうことが多いとのこと。または、軽度の脳梗塞などに見舞われたりしても、そんな状況に陥ることがあるそう。
 愛犬きくといっしょに、家の外に出てみた。朝日に輝く、見慣れた風景がぼくの目に鮮明に映る。やっぱり、ここはぼくの家だし、いつもの輝かしい朝なのだった。ぼくはいつになく、あたりまえの一日の、一年のはじまりを迎えることができるよろこびでいっぱいになった。

 過去いろいろあったように、これからも、いろいろあるのだろう。父や母の死、坐骨神経痛、転落で骨折などなど、近年にもいろいろあった。悲喜こもごも、喜怒哀楽のもろもろの出来事だったけれど、後にしてみれば過ぎ去りし思い出の数々。

 一年の節目に、ここは希望の夢を見よう。健康で多幸な愛する家族。すべての人が自由に平和に暮らせる世界。緑の地球。おいしい食事。地域のひとびと。音楽や自転車、釣行。仕事。

 この一年が幸せな一年であることを願います。