■みそとたまりの造りかたのちがい
もちろんみそ、たまり、いずれも原材料は大豆と塩でまったく同じです。でももうひとつ大切なものがあります。それは『水』。
カクトウさんでは、みそを仕込む場合には『二分半』と決まっているそうです。二分半とは25%ということで、これはみそを仕込むときの麹の量に対する塩水の量の割合。塩水の濃さは約23度(ボーメ・比重)。
■製造工程(豆みそ)
まず@大豆を水に浸す。A大型の圧力釜で蒸す。Bみそ玉を作る。Cみそ玉に麹菌をつけ、むろでみそ麹を作る。D定量の塩水といっしょに樽に仕込む。E二年間醗酵熟成させる。Fたるより取り出し、みそを濾してなめらかにする。G袋詰めして出荷。 |
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それに対してたまりの場合には五分仕込、八分仕込、十水(とみず)仕込と塩水の量は多くなります。ただし多くすればするほど生産量は増えますが、濃度の薄いたまりができるわけです。また毎回製品として出荷するたまりの品質のばらつきをなくすため、濃さのちがうたまりを造っておきブレンドします。
見学させていただいてつくづく思うことは、たまりの製造にかかわる技の複雑さです。微妙な仕込みのちがい。せっかく仕込んだ旨みを取り出すための気の遠くなるような作業。『待ち樽』と呼ばれるタルでの貯熟。職人技がたよりのブレンド。
これら一連の工程は、単にたまりをつくるというのでなく、カクトウのたまりをつくるのだという『心意気』を感じさせてくれます。 |