河原酢造

6代目照彦氏と奥様
創業170年、6代目の老舗。

2002年8月、有機認証を取得。

すばらしい米生産者にも恵まれ、すっきりとした風味の若さあふれる伝統を受け継いでいます。
河原酢造さんの米酢と出会えたことで、道長の漬物は一気においしくなれました。それまでの味についてのもやもやとした悩みが、そのすっきりした酸味とともに解消できたときの喜びは言いあらわせません。それほどの感激を純米酢『老梅』が与えてくれました。

02/11/28、雪国、福井県大野市を訪問しました。
大野市へは、北陸自動車道の福井ICより国158号で白鳥・和泉方面へ約30Km。九頭竜川の豊富な水の恵みを受けた、山間に広がる穀倉地帯。
あの地球物理学者・竹内 均氏の故郷でもあります。

前日の大雪が雨に変わり、運良く大野への訪問が実現しました。見学をするなら、仕込みの季節(冬)にいらっしゃいとの河原さんの勧めでしたが、早くも雪景色の季節となった郷に、あらためてその厳粛さを実感してしまったのです。

もうこんなに雪が
工場のあらまし

醸造蔵と母屋



新ビン詰工場
福井県にも、かつては多くの中小醸造元がありましたが、昨今、その数は激減。福井県内では酢の醸造元はたったの3軒となってしまいました。

そんな状況の中ではありますが、安全でおいしい米酢造りに徹底することで、生き残ってきたメーカーもありました。河原酢造もそのひとつです。

河原酢造では今までは、上図の建物(現在の醸造所)ですべてをまかなっていましたが、手狭となり、別の場所に左下図のような事務所兼瓶詰工場を作りました。

全くおどろいてしまうのですが、河原さんでは、従業員の数が社長照彦氏を入れて全員でなんと5名で運営されています。

さらに、酒を造る工程がある関係で、通常では『杜氏(とうじ)』という仕込みの職人が冬になると雇われます。しかし、河原さんでは社長自らがその役を行います。
できるまで

直径約1.5mほどの蒸し器。これにスチームを送り込んで、お米を蒸します。

原料はすべて国産有機米。栽培グループごとにタンクを別けて仕込んでいます。

このうち、8割くらいの米は蒸された後、冷却され、そのまま醸造タンクへ移されます。

後の2割については、蒸した後冷ましてから、麹にされ、醸造タンクへ移されます。

原料の有機栽培米

アルコール発酵中のもろみ。タンクの中は、お酒の香りとともに発酵による発熱でポカポカしています。さらに炭酸ガスの発生、発熱で、もろみはゆっくりと対流しています。

これを味わってみると、たしかにお酒ですが、酸味と若干の甘さのある味でした。

お酒を造るために1ヶ月が費やされます。
このもろみを搾れば、お酒ができるわけですが、それからが米酢造りの真骨頂ともいえるかもしれません。

盛んに泡を吹き発酵中

出来上がった酒に酢酸菌が植え付けられ、今度はおだやかな発酵がすすみます。

現在では、一般に『即醸』という方法で個性のない酢が大量に生産されています。

それに対し河原酢造では『静置発酵』により、じっくり3ヶ月間の時間をかけています(実際には熟成期間がそれにプラスされます)。右の写真のように表面には酢酸菌が膜を作っています。ゆっくりと対流しながら、米酢が出来上がってゆきます。

酢酸発酵は好気性なので、タンクのふたは微妙にすき間を開け、発酵の調節をします。

河原氏の手元に見えるのは、タンクのふたに開けられた穴をふさいでいる『綿』です。これも発酵を調節する業といえます。

米酢の完成は、最初の仕込から約6ヶ月後ということになります。



ビン詰めの前に、ろ過をします。幾重にも重ねたろ紙と珪藻土を使います。

品質とは何でしょう。有機認証をとったことが、客観的にそれを証明してくれるかもしれません。でも品質の良さとは、それを使ってはじめて認められるものです。


ろ過装置


右のお二人が河原さんのスタッフ(他に男1名)

作った人間が納得できる品質。それが大前提なのだと、河原氏とお会いして実感しました。
なぜ自分の手で仕込からすべてしなくてはいけないのでしょう。河原氏いわく、自分で納得のゆく米酢を造りたいのであれば、その職人が自らするべきだ、と。たしかに、杜氏は酒造りの職人ではあるが、酢造りの職人ではないわけです。
有機米の生産

河原酢造では、米の生産を契約を結んだ有機米生産者にお願いしています。

地元では、『アースワーク』さん(代表:松浦助一氏)ほかにお願いしています。

有機米のほ場は10.4ヘクタール。
連絡先:アースワーク
〒912-0424
福井県大野市今井11−3
TEL:0779−64−1516
FAX:0779−64−1767
Eメール:matsuura@earthwork-jp.com
http://www.earthwork-jp.com

他に
加賀有機の会  (代表:橋詰善庸 ・石川県加賀市)
エコライス新潟 (代表:阿部信行 ・新潟県長岡市)
農産工房金沢大地(代表:井村辰二郎・石川県金沢市)
とも生産の契約を結んでいます。安全な食を得るには信頼できる身近な生産者との提携が重要です。河原酢造では、今後もその努力を重ねてゆきます。
連絡先:合名会社 河原酢造
〒912-0401
福井県大野市吉8−25
TEL:0779−66−3275
FAX:0779−66−3271
Eメール:info@robai.jp
http://robai.jp