ひまわり農協管内の稲作を背負って立つ
音羽米を育てる研究会
(こだわり農場鈴木)
鈴木農生雄さん


 道長にとって、生産者というべきなのか、いちばんお世話になっているというのか。とにかく大きな比重で関わりのある方。

 道長の『つけ太郎ぬか』は鈴木さんの加入する、音羽米研究会(正しくは『音羽米を育てる研究会』の米ぬかを原料に作っています。『つけ太郎ぬか』には熟成した古いぬかみそもミックスしてありますが、おいしいぬかみそを練り合わせるには、新しく精米してできたばかりの米ぬかが必要です。米ぬかは時間が経つにつれその油分の酸化が進み、風味が落ちてしまうからです。いつも新鮮で安全な米ぬかを当てにできるため、道長では非常にありがたい存在です。

 現在、音羽米研究会には旧音羽町の米農家100軒以上が参加していて、稲は全水田の面積の1/3以上を集中的に減農薬(代かき後除草剤2剤1回)で栽培している。

 こだわり農場鈴木のおもな仕事は二つあって、そのひとつが『育苗』。多くの会員のために稲の苗をしたくするため、今までは『種子消毒』を薬剤を使って育苗していた。稲の健康な発芽と生長のためには消毒は仕方のないことなのだけれど、それを『温湯』などの殺菌に切りかえたりと安全への努力は怠りがない。

 これは育苗ばかりでなく、栽培の方でも同じで、いろいろな方法での無農薬を試みている。鈴木さんのライスセンターでは、育苗と栽培の仕事はそれぞれ父親の農生雄さんと、息子さんの晋示さんが分担して行っている。栽培を担当する晋示さんも無農薬化には積極的で、アゾラ(オオアカウキクサ)を利用したり、米ぬか除草(米ぬかをペレット状にしてそれを水田に撒き散らす)、紙マルチ、レンゲを利用した『不耕起直播』などなどと試行中。完全無農薬化が目標となっている。2007年現在、有機認証取得に向けて1ヘクタールの水田で、有機への転換栽培を行っている。2009年には有機認証取得予定。

 そういった安全志向は多くの場合、手間がかかりコストアップにつながると思われがちだけれど、それをコストダウンしながらおこなってゆこうという姿勢には恐れ入ってしまう。そのためにより広い耕地での機械化も積極的。

 今のところ転作小麦の奨励品種は限られており、愛知県では一種類(農林61号)だけ。周知のように、奨励品種には補助金が用意されているものの、それ以外は作ったとしても、まったく儲けにはならない。外来の小麦にはまったく価格の点で太刀打ちができないから。

 それなのに、鈴木さんはパン用の小麦(鴻の巣という)も試作した。そしてパンの試作までして、地元の小学校の給食で試食までさせている。おそらく、愛知県でここまで積極的に農業の可能性を、しかも安全な方向で試行しようとしている生産者も少ないと思う。

 鈴木農生雄さんという人はまったく、ふしぎな魅力の持ち主だと思う。まずこの農生雄(のぶお)という名前(これは改名でもなんでもなく本名)。まさに『農』ひとすじのひとで、そのためにひとたびなにかの目標を決めたと思うと、まっしぐらに走ってゆく。それになぜか周りの人たちもあとからついてゆく、といった感じ。

 遺伝子組み換えのイネの研究を愛知県の農総試で行っているという事実にも、真っ先にNo!と宣言したのも鈴木さん。ぼくなぞはその尻馬に乗っているだけという感も否めないほど。そのための学習会と称して、昨年行われたシンポジウムにも出席していただいたけれど、その素朴な語り口というか何というか、やっぱりふしぎな魅力に聴衆は引き込まれてしまうのだった。そのわけはやはり彼のからだには希望というか『夢』があふれているからなんじゃないか、とぼくはいつも納得してしまう。周りの人たちはそれに連れて動いてしまうのです。

 おかげで豊川市の音羽地区の農業はフレッシュで魅力いっぱいといったところ。きっと日本の農業も、これからまんざらじゃないかもしれないと、ぼくも道長も、その先行きにとってもおおきな夢も見ていられるんです。


鈴木ファミリー


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