終身雇用がガラガラと音を立てて崩壊してしまった中(終身雇用なる幻想はもともと大企業に勤める大卒ホワイトカラー男性のみの特権だったとかそういうツッコみはこのさいなし)、転職が世間的にも普通になりました。「人材の市場価値」といった表現に違和感がなくなり、転職やキャリアデザインに関する書籍も書店に並び、人材紹介会社、あるいはヘッドハンターなるもの(ヘッドハンターはやや古めかしい表現で、今はエグゼクティヴ・サーチと呼ぶのが普通だと思います)の存在も市民権を得たといっていいでしょう。ちょいと意識の高いビジネスパーソン対象の雑誌には、何社もそういったエージェントの広告が載っています。(いわゆるヘッドハンターと人材紹介業は別物ですので念のため)
昔は人材紹介会社が扱える(あまり「人」に使うにはいい表現ではありませんが)職種に制限があったのですが(表向きのことであって裏では無関係にやってたみたい)、99年12月の改正職業安定法によって、法的には誰でもそういったエージェントへの登録は可能となっています。
なお、当たり前の常識で今更指摘するまでもないですが、これらのサービスは求人側がコスト(ヘッドハンターの場合)ならびに紹介料(入社した場合)を負担します(求職者から金なんて取るわけ無いでしょ)。以前は、法的に禁止されていたのですが、現在は高年収ポジションの求職者からは、紹介料を徴収することは認められてはいます。
人材紹介が登録してきた求職者と求人企業データベースをマッチングさせる業態(言い過ぎかも)であるのに対し、求人企業側に立って必要な人材像のニーズを明らかにし、必要な人材が在籍すると思われる企業や団体等をリストアップし、あるいは公私様々な情報チャネル(ウェブサイトなども利用します)から最適な人材をサーチし、その人材に対する転職アプローチを行うのがエグゼクティヴ・サーチです。
いずれにせよ、人材市場から隔絶された世界に棲息していたので、とりあえずプロのアドバイスを受けてみようと、CPA合格通知を受け取ったあと、本格的に何社かエージェントにメールで連絡をとってみました。(合格する前であっても一度話だけでも聞いてみることをお勧めします。いくら考えたところで自分のまったく未知のことについてはわかりません)
こういったところを使うメリットの一つは、自分のまったく考えていなかったような方向性を示してくれることがあるという点だと思います。私もあるエージェントの指摘がなければ、別の道へと進んでいたはずです。(たまたま転職雑誌などに名前と顔写真入りで登場してコメントされておられるようなコンサルタントの方とお会いすることができました)
エージェントにもいろんなタイプがあって、技術者中心、経営管理や経理会計に強い、若者は相手にしない(すでに出来上がっている人だけを対象にする)、様々ありますが、そういったエージェントの一覧のようなものが載っている本を買ってきて、たとえば登録者最低年齢が高いところは捨てる、などして選んだ何社かにメールを出してみました。その対応を見てさらに絞り、というようなことを感じでした。たとえば、レスポンスの早さにもかなり差があります。
人材紹介会社はこういうふうに活用するといい、こういうところは要注意、といったアドバイスをして下さったエージェントや(しかし、もしかするとそこ自体が実は・・・で、などと考えはじめると夜も眠れず朝は起きられません)、様々です。
できれば紹介(どこそこの誰々さん)を受けてアプローチしたいところです。
当時は大阪在住でしたので、東京のエージェントとは必然的にメールや電話、FAXだけのやりとりということになりましたが、当然本来であれば実際に会うべきですし、もちろん実際に会った人材紹介会社もあります。(一度も実際に会ったことのないコンサルタントの紹介で内定してしまうというのもなかなか面白い経験でしたが)
最近はWord文書でのキャリアシートというものを用意している会社もあり(そうでないところもあります)、WWWでのやりとりにも慣れているようです。が、WWWに登録フォームを用意してかなり詳しい情報を入力させておきながら、あとで登録シートが郵送されてくる(それもかなり日にちが経ってから)という意味レスな会社もある(私の経験ではこういうところは止めたほうがいい。細かいことだが一事が万事だ)ので、やはり電話が早いです。後で登録したエージェントはウェブサイトを見ながら電話しました。
「日経人材紹介会社利用ガイド」というムック本が毎年末に出ています。それを見るとこんなにたくさん人材紹介会社があるのか、と思わされます。
人材紹介会社の取引先(こういった表現がふさわしいのかどうか分かりませんが)は、会社としての取引先というより個々の担当者の持ちゴマの集合体と考えたほうが実態に近いと思います。これは登録者側にも同じことが言え、どこそこ会社に登録しているのではなく、どこそこ会社の誰々という担当者に登録しているというのが正しい(ほとんどの人材紹介会社はそうです)。よって必然的に複数のエージェントにアプローチして、自分とエージェント、あるいは個々の担当者との相性その他がマッチしない(あるいはそのエージェントがカスだった)場合に備えてリスクヘッジする必要は当然あります。
ある人材紹介会社での例を挙げてみます。(あくまで一つの具体例ですので参考までに)
一般に、エージェントを通して面接を受けた際は、2割はその会社に入社、残り8割のうち6割は入社辞退で2割は面接不合格、という結果なのだそうです。
転職を本気で考えている場合、何かのきっかけがあれば遅かれ早かれアクションを起こすつもりで、潮時を待っているという状態であれば、エージェントと接触を持つことをお勧めします。その気は無いが冷やかしで、というのは互いに時間の無駄になる可能性がありますし、登録者のプライバシーを守らないエージェントがありますので、下手をすると自分が勤める会社の人事部に自分が転職希望者だと情報が行ってしまう可能性があります。(プライバシー厳守と謳っておきながら、そうでない会社は当然ある)
たとえばCPA試験に合格したら転職しよう、と考えている場合も、きっかけ(CPA合格)があればアクションを起こす、という条件になりますので、何社か(大手、中堅、専門ブティックとタイプを分けること)と接触を持ってみるべきでしょう。CPA合格後の転職先等についてアイデアが得られるかもしれません。どのような業種のどのようなポジションが空いているのかは、その時々の情勢によって変わります(1999年から2000年のいわゆるITバブル期とその後の就職氷河期を思い起こしてみてください)。ですから確実なことはわからないでしょうが、方向性については示唆が得られるものと思います。
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