CPA職務展望 投資銀行業務

Investment Banking

 投資銀行は、企業に対して「バランスシートの中身を変える」サービスを提供します。株式や債券のアンダーライティング(引受)による資金調達や、資産・事業の買収売却、すなわちM&A(&D, Divestiture)のアドバイザリーが伝統的な投資銀行業務ですが、金融資産の運用、資産流動化、債券の買入償却、自己株消却などの企業のニーズに応えます。自己資本を用いた投資(典型的には不良資産への投資など)も行います。

 一般的に、投資銀行の組織は、カバレッジと呼称される、顧客企業の窓口としてバランスシートの状況や企業の戦略を把握し、発行体のニーズに応えたり(作り出したり)する役割(オリジネーション)と、そのニーズを満たすため、実際に顧客に提供するプロダクトを提供する部門に分かれています。プロダクト部門は自分の専門分野における高度な法務、会計、税務及び資本市場(キャピタル・マーケット)関係の専門知識と経験を有しています。

 これら投資銀行業務にはCPA受験で得られる知識や人脈(人によって差があります)が、けっこう役に立ちます。(もちろん、ファイナンスとアカウンティングは別物だというのは前提ですが)M&AやUnderwritingなどフロント業務では会計をかなり使いますし、会社法・証取法や税に関する知識も必須です。
 会計は、企業を数字で判断する際の基礎的な素養です。法は、ビジネスを推し進めていく上での前提条件となります。企業戦略において、税務上の取扱いは、実務上は意思決定の最重要ポイントです(タックス・プランニング)。資本市場と対峙する上でも、経営を実行する上でも、監査の思想を理解することは有益です。

 投資銀行の果たす役割は、投資銀行業務に加え機関投資家向けのプローカレッジと(自己)トレーディングがあります。投資銀行業務が企業の資金調達に関わる証券の発行業務であることから、これをプライマリーと呼称するのに対し、発行された証券に流動性を与え、流通させるブローカレッジやトレーディングはセカンダリーと呼称されることがあります。プライマリーとセカンダリーの間には厳重な情報障壁(いわゆるチャイナ・ウォール)が、設けられています。

 金融先進国であるアメリカにおいては、大企業・金融法人向け投資銀行業務は、融資も含めたホールセール取引として一セグメントを形成しており、フルライン(証券業務だけでなく預貸も行う)のいわゆるユニバーサルバンク、金融コングロマリットとも称されるモデルが、モノライン(代表はGS)に対して優位性を発揮しつつあります。一方、従来間接金融を主体としてきた日本においては、今後いかなる形で企業金融が発達するのか、それは直接金融の興隆なのか、あるいはまったく異なる姿の将来像が描かれるのか、正直予想ができません。

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