CPA試験概略 試験の難易度

試験の合格率

 実際にはどれくらいの難易度の試験なのでしょうか。

 旧試験制度での話になりますが、某誌の記事によると、ある国内有力CPA指導校には、99年2月時点で、8800人の生徒数が在籍し、これまでの合格者の実績は科目合格を含んで計370名なのだそうです。指導校によってさほど大きな合格率の差などはないと思いますが、少なくとも「誰でも合格できる簡単な試験」でないことは、確かだと思われます。2003年3月のThe Japan Timesによると同じCPA指導校で2000人がこれまでに合格しているとのことですので、合格者数は着実に増えています。
 2001年6月19日付の日経流通新聞MJによると、大手受験指導校であるU.S.エデュケーション・ネットワーク(U.S.E.N.)では、「生徒は現在、東京、大阪、横浜の三校舎で通学・通信教育合わせて1,000人超。受講生の多くは社会人で、受験可能なレベルに達する9ヶ月まで継続して受講する生徒はそのうち半数の500人程度。さらに本試験に受かるのは130〜140人という。」ということです。
 受験者500人のうち140人が合格と仮定すると、合格率28%です。受講生は受験者の倍いますから、受講生の14%は合格、という計算(なお、合格者には当然科目合格は含まれているものと考えられます)です。教室で受講している方が仮に100人いれば、うち最終合格に辿り着けるのは十数人ということになります。
(もちろん、記事が正しいと仮定すれば、ですが)

 私自身は、実状以上に簡単な試験であるという誤解が未受験者(採用側の企業サイドも含め)に発生していたように感じています。
 然しながら、新制度移行後は、一科目づつ個別に受験・合格が可能なこと、一年に最大4回まで任意の時期に受験可能となることから、問題そのものの難易度が変わらなければ、働く社会人にとっては従前より合格が狙いやすくなるものと思われます。
 但し、CBT形式には要注意だと思います。たいていの日本人にとってはペーパーテストより実力を発揮しづらいフォーマットだと考えられます。

CPAで生きる「英語」「会計」−新聞記事より

本当の難易度

 昔は「簿記二級、英検二級から」だったのが、「会計知識ゼロ、TOEIC400から」といった文字までが一部の宣伝には踊りますが、簿記や英検の二級は一応高校生レベルです。そんなものを真に受けるほうがどうかしています。(もしこれを会計知識ゼロで合格できると取り違えた人がいるとするなら、自らにとって都合のよい何らかの先入観が働いていたか、日本語言語能力が貧弱だ)
 確かに難問はほとんどありません。しかし、記憶しなければならない事項は相当にあります。理解しなければいけない概念も当然あります。簿記二級、英検二級からスタートして少なくとも試験合格レベルまでは引き上げるのです。
 別の雑誌で「TOEIC900レベルの英語力と簿記一級程度の会計知識を持っている場合1,000時間の学習が必要」と紹介されていましたが、より実態に近いでしょう。もっとも、1,000時間というのはそれを超えれば、合格率のカーブの勾配が急に上がってくるといった程度のもので、そんなにしなくとも合格する人はしますし、いくら勉強しても合格しない人はしないのでしょうが。つまり、この1,000時間±予備知識、実務経験や英語力=合格に要する勉強時間、といったところでしょう。
 質問と答えにも触れましたが、時間数を話題にするのはバカバカしいだけです。(1,000時間の勉強で取れる資格より10,000時間の勉強が必要な資格のほうが投資価値がある、といったアホらしい話にもなってしまう・リスクとリターンは見合わなければおかしい)

 受験者層が千差万別で幅広く、必然的に各々のバックグラウンドによって合格の困難度や必要コストが相当に異なってきますので、かなり似通った背景の人同士でなければ比較対照しにくいことにも、十分留意が必要です。

 実際に合格を目指して勉強を始められるのでしたら、その前に「何のために」という目的意識をはっきりと持たれることが重要だと思います。でないと勉強も続きません。CPAが典型的な日本の資格と比較して厳しいのは、受験に辿りつけるまでのコスト(時間・費用)が膨大であることです。

資格を取る意味

合格までのコスト

 金銭的には、受験に辿りつくまでにも単位取得やら学歴審査やらで散財があり、試験自体を国外で受験しなければならないという事情もあって、受験のための渡航費用なども含めれば、総費用として100万円程度の見積もりをされる必要があります(私は受験回数が多いのでもう少しかかってます)。独学などでしたら当然もっと少なくて済みます。
 なお、合格後にCertificateなりLicenseなりを取得される場合、当然追加のコストが発生します。

受験指導校の意義

 学歴要件、必要会計単位数など試験会場に辿りつくまでの負担は増す一方で、減ることはほとんどありません。他方、各指導校の試験対策(教材等含め)や受講者へのフォローは年々拡充しているように思えます。結果、多くの方にとって、受験指導校を使う(使える)場合とそうでない場合の差が以前より大きくなっていると思われます。
 しかし2004年以降のコンピュータ化(CBT)試験に対するノウハウは、本家アメリカ勢のほうが優れているのではないかと個人的には想像します。ペーパー試験では日本人は強さを発揮しますが、CBT-CPAに日本の受験指導校はどう対処するでしょうか。

簿記監査予備知識受験者像受験手続試験科目試験形式|難易度|資格取得


  CPA試験概略

   -) | サイトマップ |