「とやまの名水」の衛生管理
- 富山県では、近年、旧環境庁が選定した「全国名水百選」や富山県が選定した「とやまの名水55選」
から相次いで大腸菌群が検出されたことを踏まえ、飲用に使われている「とやまの名水」の衛生管理を
図るため、平成14年度から「とやまの名水」衛生管理・飲用対策事業を実施しています。
昭和61年の「とやまの名水」の選定に際しては、故事来歴など歴史的背景や自然科学的な観点から選んだため、水質検査に基づく
飲用の適、不適は条件に含めていなかったわけです。しかしながら、近年の健康志向や名水ブームとも相まって、
県内外から多数の人々が「とやまの名水」を訪れ、飲用等に利用されている現状があります。
このため、「とやまの名水」の飲用が原因となって発生する食中毒や感染症等の事故を防止することを
目的とするものです。
その事業の一環として「とやまの名水」衛生管理マニュアルが策定されました。
- 上記事業の一環として2002年11月26日に「とやまの名水」ネットワーク協議会の初会合が開催されました。
翌27日付け北日本新聞の記事によれば、飲用に使われている「とやまの名水」のうち、
「誕生寺の誕生水」
「気多神社の清泉」
「影無し井戸」
「弓の清水」
「又兵衛清水」
「妃の清水」
「瓜裂清水」
「不動滝の霊水」
「脇谷の水」
「弘法大師の清水」
「八木山の滝」
「殿様清水」
「花山寺の霊水」
「桂の清水」
の14箇所で大腸菌群が検出されたと掲載されています。
いずれも健康に影響のない土壌性大腸菌群である可能性が高いとはいえ、飲用に使う時は
煮沸して使う等の注意が必要です。煮沸すると、水に溶け込んだ遊離炭酸(炭酸ガス)が
無くなるため、のどごしのさわやかさは失われるが、成分的には大差はないものです。
なお、「影無し井戸」と「弘法大師の清水」
には平成14年12月に紫外線滅菌装置が取り付けられたので
大腸菌群が検出されなくなり、その他の名水も「この水は消毒されていないので、生水での飲用は
しないでください」などの看板を立て注意を呼びかけるなど、安全対策を講じたそうです。
ちなみに、城山の湧水は「とやまの名水」には
選ばれていないが、10月に県内で初めて紫外線滅菌装置を取り付けたそうです。
※大腸菌群(水道水質基準)
大腸菌群とは、大腸菌及びこれに類似する性質を有する細菌の総称で、グラム陰性、無芽胞の
桿菌で乳糖を分解して酸とガスを発生する好気性または通性嫌気性の細菌をいいます。
大腸菌群には、人畜の腸管内に生息しているものと土壌を起源とするものがあるため、
大腸菌群の存在自体が直ちに糞便製汚染を意味するものではありませんが、
大腸菌群を含む水は糞便製の病原菌を含む汚水等によって汚染されている疑いがあります。
そこで病原菌による汚染の疑いのない水とするために、
大腸菌群について「検出されないこと」との水質基準が定められています。
[引用文献] 水道のあらまし改訂版 1993年 社団法人日本水道協会発行
以下↓、積極的に名水の衛生管理に取り組んでいる
高岡市の「影無し井戸」の例です。
平成14年12月に紫外線滅菌装置が取り付けられました。【2003年1月撮影】
紫外線滅菌装置の配管状況です。【2003年1月撮影】
自然湧水であることを周知する看板も立てられています。【2003年1月撮影】
水質試験成績書も掲示されています。【2003年1月撮影】
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